人間ドックで何がわかるの?

早期発見から早期治療へ

「元気だったひとがある日突然たおれた。」
こんな話を耳にすることはありませんか? 「一見、元気そう」でも、じつは見えない病気が潜んでいることがあります。
医療には「予防医学」と「治療医学」がありますが、現在注目されているのは「予防医学」です。糖尿病や高血圧、高脂血症などの生活習慣病は、かなり進行しないと自覚症状がありません。がんも、何年もかかって進行するケースが多いのです。

しかし、これらの病気も早期にその芽をみつけて、治療を始めれば、治癒させることもできます。
そのために必要なのが、人間ドックです。人間ドックは、その病気をいち早く発見できるのです。

健康診断と人間ドックの違い

会社に勤めている人は労働安全衛生法に基づいて年に1回定期健康診断が義務付けられています。
主婦や自営業の方には高齢者の医療の確保に関する法律に基づいて、自治体等保険者が主催する健康診査を受けることができます。これらの健診は内容が限られていますので、体全体をチェックするには限界があります。

人間ドックが必要なワケ

病気はある程度進行しないと自覚症状が現れません。
とくにがんは自覚症状が現れた段階では治療が極めて困難であると言わざるをえません。
また、人間ドックは詳しい検査を多項目にわたり行い、多くの病気の早期発見に効果があります。
病状の経過を見たり、今後の治療の方針を決めたりするのに役立ちます。合併症を発症していないかもわかります。
また、健診で異常がない人も、人間ドックで異常が見つかることがあります。これまで受けたことのない人も、ぜひ人間ドックを受診してほしいものです。

人間ドックの歴史と由来

80年以上前に日本で産声をあげた人間ドックを、最初に組織的に行ったのは、1954年(昭和29年)7月12日、国立東京第一病院(現在の国立国際医療研究センター)といわれています。次いで聖路加国際病院など、全国の病院や施設で人間ドックが創設されました。
ちなみに「ドック」は病院という意味の俗語もあるようですが、一般的には船を点検・修理するためのドック(dock)に由来するといわれています。
船が長い航海のあと点検・修理のためにドックに入るように、人間も定期的にドックに入る必要がある、という考えから生まれた言葉と思われます。