血液検査

検査の内容
血液を採取してさまざまな異常を調べます。
検査前日の注意
糖尿病といわれるのがいやで、検査数日前から食事量を減らしたり、運動したりする人がいますが、ヘモグロビンA1C値を調べるとにわか対策もわかりますので、普段どおりの状態で受けましょう。
中性脂肪、血糖など空腹でないと正しく評価できない検査項目があります。
受診する施設の注意に従ってください。
検査でわかること
血液検査からわかることは多く、主に貧血、肝臓の異常、腎臓の異常、高脂血症、糖尿病などの病気が、わかります。
肝臓系検査
総タンパク
血液中の総たんぱくの量を表します。
数値が低い場合は栄養障害、ネフローゼ症候群、がんなど、高い場合は多発性骨髄腫、慢性炎症、脱水などが疑われます。
異常 要注意 基準範囲 要注意 異常
6.1以下 6.2~6.4 6.5~7.9 8.0~8.3 8.4以上
(単位 g/dL)
アルブミン
血液蛋白のうちで最も多く含まれるのがアルブミンです。
アルブミンは肝臓で合成されます。
肝臓障害、栄養不足、ネフローゼ症候群などで減少します。
基準範囲 要注意 異常
3.9以上 3.7~3.8 3.6以下
(単位 g/dL)
AST(GOT)とALT(GPT)
AST(GOTともいう)は、心臓、筋肉、肝臓に多く存在する酵素です。ALT(GPTともいう)は肝臓に多く存在する酵素です。
数値が高い場合は急性肝炎、慢性肝炎、脂肪肝、肝臓がん、アルコール性肝炎などが疑われます。
基準範囲 要注意 異常
AST 30以下 31~50 51以上
ALT 30以下 31~50 51以上
(単位 U/L ユニットパーリットル)
GOTのみが高い場合は心筋梗塞、筋肉疾患などが考えられます。
γ-GTP
γ-GTPは、肝臓や胆道に異常があると血液中の数値が上昇します。
数値が高い場合は、アルコール性肝障害、慢性肝炎、胆汁うっ滞、薬剤性肝障害が疑われます。
基準範囲 要注意 異常
50以下 51~100 101以上
(単位 U/L ユニットパーリットル)
腎臓系検査
クレアチニン(Cr)
アミノ酸の一種であるクレアチンが代謝されたあとの老廃物です。筋肉量が多いほどその量も多くなるため、基準範囲に男女差があります。

腎臓でろ過されて尿中に排泄されます。
数値が高いと、腎臓の機能が低下していることを意味します。

基準範囲 要注意 異常
男性 1.00以下 1.01-1.29 1.30以上
女性 0.70以下 0.71-0.99 1.00以上
(単位 ㎎/dL)
eGFR(イージーエフアール)
クレアチニンより精度の高い腎臓機能の指標です。クレアチニン値を性別、年齢で補正して算出します。数値が低いと腎臓の機能が低下していることを意味します。
基準範囲 要注意 異常
60.0以上 45.0-59.9 44.9以下
(単位 mL/分/1.73㎡による)
尿酸(UA)
尿酸は、たんぱく質の一種であるプリン体という物質が代謝された後の残りかすのようなものです。
この検査では尿酸の産生・排泄のバランスがとれているかどうかを調べます。
高い数値の場合は、高尿酸血症といいます。高い状態が続くと、結晶として関節に蓄積していき、突然関節痛を起こします。これを痛風発作といいます。また、尿路結石も作られやすくなります。
要注意 基準範囲 要注意 異常
2.0以下 2.1-7.0 7.1-8.9 9.0以上
(単位 ㎎/dL)
脂質系検査
HDLコレステロール
善玉コレステロールと呼ばれるものです。血液中の悪玉コレステロールを回収します。少ないと、動脈硬化の危険性が高くなります。

数値が低いと、脂質代謝異常、動脈硬化が疑われます。

異常 要注意 基準範囲
29以下 30~39 40~119
(単位 ㎎/dL) 
*将来、脳・心血管疾患発症しうる可能性を考慮した基準範囲
LDLコレステロール
悪玉コレステロールとよばれるものです。
LDLコレステロールが多すぎると血管壁に蓄積して動脈硬化を進行させ、心筋梗塞脳梗塞を起こす危険性を高めます。
異常 基準範囲 要注意 異常
59以下 60~119 120~179 180以上
(単位 ㎎/dL)
中性脂肪(TG)(トリグリセリド)
体内の中でもっとも多い脂肪で、糖質がエネルギーとして脂肪に変化したものです。
数値が高いと動脈硬化を進行させます。
低いと、低βリポたんぱく血症、低栄養などが疑われます。
異常 基準範囲 要注意 異常
29以下 30~149 150~499 500以上
(単位 ㎎/dL)
Non-HDLコレステロール
Non-HDLコレステロールは、すべての動脈硬化を引きおこすコレステロールを表します。
LDLコレステロールだけでなく、中性脂肪が豊富なリポ蛋白、脂質代謝異常により出現するレムナント(残り物)などを含み、動脈硬化のリスクを総合的に管理できる指標です。
数値が高いと、動脈硬化、脂質代謝異常、甲状腺機能低下症、家族性高脂血症などが疑われます。
低い場合は、栄養吸収障害、低βリポたんぱく血症、肝硬変などが疑われます。
異常 基準範囲* 要注意 異常
89以下 90~149 150~209 210以上
(単位 ㎎/dL) 
*将来、脳・心血管疾患発症しうる可能性を考慮した基準範囲
糖代謝系検査
血糖値(FPG)
糖とは血液中のブドウ糖のことで、エネルギー源として全身に利用されます。
測定された数値により、ブドウ糖がエネルギー源として適切に利用されているかがわかります。
数値が高い場合は、糖尿病、膵臓癌、ホルモン異常が疑われます。
基準範囲 要注意 異常
99以下 100-125 126以上
(単位 ㎎/dL)
HbA1c
HbA1C(ヘモグロビン・エーワン・シー)は、過去1~2ヶ月の血糖の平均的な状態を反映するため、糖尿病のコントロールの状態がわかります。
また、空腹時血糖(FPG)が126mg/dL以上かつHbA1c6.5%以上なら糖尿病と判断します。
基準範囲 要注意 異常
5.5以下 5.6-6.4 6.5以上
(単位 %)
血球系検査
赤血球(RBC)
赤血球は肺で取り入れた酸素を全身に運び、不要となった二酸化炭素を回収して肺へ送る役目を担っています。
赤血球の数が多すぎれば多血症、少なすぎれば貧血が疑われます。
血色素(Hb)(ヘモグロビン)
血色素とは赤血球に含まれるヘムたんぱく質で、酸素の運搬役を果たします。
減少している場合、鉄欠乏性貧血などが考えられます。
異常 要注意 基準範囲 要注意 異常
男性 血色素 12.0以下 12.1-13.0 13.1-16.3 16.4-18.0 18.1以上
女性 血色素 11.0以下 11.1-12.0 12.1-14.5 14.6-16.0 16.1以上
(単位 g/dL)
ヘマトクリット(Ht)
血液全体に占める赤血球の割合をヘマトクリットといいます。
数値が低ければ鉄欠乏性貧血などが疑われ、高ければ多血症脱水などが考えられます。
MCV・MCH・MCHC
MCVは赤血球の体積を表します。
MCHは赤血球に含まれる血色素量を表します。
MCHC赤血球体積に対する血色素量の割合を示します。
MCVの数値が高いと、ビタミンB12欠乏性貧血、葉酸欠乏性貧血、過剰飲酒が疑われます。
低いと、鉄欠乏性貧血、慢性炎症にともなう貧血が疑われます。

白血球(WBC)
白血球は細菌などから体を守る働きをしています。
数値が高い場合は細菌感染症にかかっているか、炎症、腫瘍の存在が疑われますが、どこの部位で発生しているかはわかりません。たばこを吸っている人は高値となります。
少ない場合は、ウィルス感染症、薬物アレルギー、再生不良性貧血などが疑われます。
異常 基準範囲 要注意 異常
3.0以下 3.1~8.4 8.5~9.9 10.0以上
(単位 103/μL)
血小板数(PLT)
血小板は、出血したとき、その部分に粘着して出血を止める役割を果たしています。
数値が高い場合は血小板血症、鉄欠乏性貧血などが疑われ、低い場合は再生不良性貧血などの骨髄での生産の低下、特発性血小板減少性紫斑病などの体の組織での亢進、肝硬変などの脾臓でのプーリングが考えられます。
異常 要注意 基準範囲 要注意 異常
9.9以下 10.0~14.4 14.5~32.9 33.0~39.9 40.0以上
(単位 104/μL)
感染症系検査
CRP
細菌・ウィルスに感染する、がんなどにより組織の傷害がおきる、免疫反応障害などで炎症が発生したときなどに血液中に増加する急性反応物質の1つがCRPです。細菌・ウィルス感染、炎症、がんはないかを調べます。
基準範囲 要注意 異常
0.30以下 0.31-0.99 1.00以上
(単位 ㎎/dL)
梅毒反応(希望者のみ)
梅毒に感染しているかを調べます。
ただし、結核、膠原病など梅毒以外でも陽性になることがあり、これを生物学的偽陽性といいます。陽性の場合は区別するために精密検査を受けてください。
基準範囲 異常
陰性(-) 陽性(+)
HBs抗原(希望者のみ)
B型肝炎ウィルスに感染していないかを調べます。
基準範囲 異常
陰性(-) 陽性(+)
HCV抗原(希望者のみ)
C型肝炎ウィルスに感染していないかを調べます。
基準範囲 異常
陰性(-) 陽性(+)