心電図

心電図検査です。

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検査の内容
心臓の筋肉に流れる電流を体表面から記録する検査です。電流の流れ具合に異常がないかがわかります。
また1分間に電気が発生する回数である心拍数も測定されます。
検査当日の注意
前日の寝不足や測定時の緊張により値が上昇します。
検査でわかること
心臓の電気的な活動の様子をグラフの形に記録することで、不整脈があるか、
心筋の血液循環が不良(狭心症)になっていないか、
心筋が壊死(心筋梗塞)していないか、などがわかります。
次のような検査所見がみられます(数字・ABC・アイウ順)。
RSR’パターン
(あーるえすあーるぱたーん)
心房からの電気刺激は心室に入ると右室は右脚、左室は左脚前枝・後枝に分かれ合計3本の心筋内伝導ルートを伝わり左右心室の筋肉を収縮させます。RSR’パターンは、右脚の電気の流れがわずかに障害されている場合に認めます。いわゆる異常心電図波形として指摘されますが、正常者でも認めることがあり問題ありません。
R波増高不良
(あーるはぞうこうふりょう)
心電図波形のR波(上向きの幅の狭い波)は、胸の左側の電極で記録した方が、胸の真ん中付近の電極で記録したものよりも大きくなるのが普通です。これが、ほとんど大きさが変わらない場合をR波増高不良と呼びます。心筋梗塞や肺気腫、心筋症などでみられますが、痩せ型の体型の方にもよく現れます。
異常Q波
(いじょうきゅーは)
心電図波形のQ・R・S波は、上向きのR波と下向きのQ波、S波で成り立っています。そのうちQ波が著しく大きくなる場合を異常Q波といいます。心筋梗塞や心筋症など強い心筋障害によって見られます。
Ⅰ度房室ブロック
(いちどぼうしつぶろっく)
房室ブロックは心房から心室への電気の流れ(刺激伝導)に障害がある状態です。Ⅰ度房室ブロックは、何らかの原因で心房-心室間の電気の流れに時間がかかっているが心室へ刺激は伝わっている状態です。ブロックの程度が悪化しなければ問題ありません。しかし新しく生じた場合や極端な伝導時間の延長そして自覚症状がある場合などには注意が必要です。
陰性T
(いんせいてぃー)
心電図波形のT波は収縮した心臓が元に戻るときにできる波です。陰性T波とは通常は山型をしているT波が谷のようにへこんだ状態で、心筋梗塞、高血圧や心筋症による心肥大、脳内出血などでみられます。
右胸心
(うきょうしん)
通常左側にある心臓が右側にあり、左右対称に入れ替わっている状態です。左胸部につける導子を右胸部に付け替えて心電図記録を行います。
右房性P波
(うぼうせいぴーは)
肺高血圧症や肺気腫、心房中隔欠損などで右心房に負担がかかり右心房が拡大して心電図のP波の高さが高く尖った形に変化した所見です。
ST上昇
(えすてぃーじょうしょう)
心電図波形のうちで、ST部分が通常より上がった状態です。心筋梗塞、心筋炎、ブルガダ症候群などでみられますが、心臓に病気がなくても現れることがあります。
ST-T低下
(えすてぃーてぃーていか)
心電図波形のうちで、ST部が通常より下がった状態です。心臓の筋肉の血液の流れが悪い場合(心筋虚血)や、心臓の筋肉が厚くなった状態(心肥大)などで起こりますが、病気でなくても起きることがあります。ST部分の傾きで、上行傾斜型、U字型、水平型、下降傾斜型等に分かれます。
冠状静脈洞調律
(かんじょうじょうみゃく
どうちょうりつ)
心臓のリズムを作る場所が洞結節以外の心房(冠静脈洞や左心房など)にある場合をいいます。健康な人でもみられることがあります。
完全右脚ブロック
(かんぜんうきゃくぶろっく)
右脚の電気の流れがブロックされた状態です。基礎疾患のない右脚ブロックは問題のない事が多く、電気の流れは左脚を通って伝わりますので右心の収縮には影響はありません。定期的に心電図検査を受けるようにしてください。狭心症、高血圧性心疾患などを合併し指摘された場合には原疾患に対する治療が行われます。
完全左脚ブロック
(かんぜんさきゃくぶろっく)
左室内の左脚前枝・後枝2本ともにブロックされた状態であり広範な心筋障害を有している場合があり、医療機関を受診し精査を受けてください。新たに出現し胸痛を伴う場合には急いで循環器専門医を受診してください。心エコー検査や心臓CT検査などの専門的な検査ならびに原因疾患の治療が必要な場合があります。
完全房室ブロック
(かんぜんぼうしつぶろっく)
心房-心室間の電気の流れが完全に途絶えている状態です。心房と心室が独立して電気刺激が発生しています。まれに無症状の場合もありますが、失神や突然死の原因となり非常に危険な状態です。早急に医療機関を受診し十分な精密検査を受けてください。緊急ペースメーカーなどの治療が必要となる場合があります。
QT間隔延長
(きゅーてぃーかんかくえんちょう)
QT間隔(時間)はQRS波の最初からT波の終末部までの時間で、心拍数や自律神経、電解質(低カリウム、低カルシウム)、薬物(抗不整脈薬・抗精神薬・抗生物質の一部)などにより変化します。QT時間が延長する状態では心筋各部で興奮持続時間のばらつきが生じ危険な不整脈が起こりやすくなります。
境界域Q波
(きょうかいいききゅーは)
やや大きめのQ波ですが、異常Q波よりも程度の軽いものです。尚、異常Q波に関しては、該当項目を参照して下さい。
左脚前枝ブロック/左脚後枝ブロック
(さきゃくぜんしぶろっく/さきゃくこうしぶろっく)
左脚ブロックはその背景に心疾患を有する事が多く注意が必要です。狭心症、高血圧性心疾患、心筋炎などの心筋障害、弁膜症などが原因になることがあります。左脚の伝導路のうち前枝または後枝のそれぞれ1本が障害されている場合にさらなる障害が生じる場合があり、定期的な心電図検査による経過観察が必要です。
左室高電位
(さしつこうでんい)
左胸の電極で記録した心電図波形の上向きのR波が通常より高い場合や、中央で記録した心電図波形の下向きのS波が深い場合です。左心室由来の電位が高く記録されているという意味で、左室肥大などで現れますが、ST低下を伴わない場合は問題ないことが殆どです。
左房性P波
(さぼうせいぴーは)
僧帽弁膜疾患(僧帽弁狭窄症や僧帽弁閉鎖不全症などで左心房に負担がかかり、左心房が拡大して心電図のP波が幅広く二峰性に変化した所見です。
軸偏位
(じくへんい)
心臓の筋肉が働く時に流れる電流の方向のことを平均電気軸といいます。この軸が通常より右側(時計回転方向)に傾いていることを右軸偏位、左側(反時計回転方向)に傾いていることを左軸偏位といいますが、軸偏位だけでは病気ではなく、特に問題ありません。
上室性期外収縮
(じょうしつせいきがいしゅうしゅく)
洞結節より早く別の場所で心臓の拍動が指令される場合を期外収縮といい、心房や房室接合部(上室)で発生した場合、上室性期外収縮となります。緊張、興奮、ストレスなどで起こることもあります。動悸を感じたり、頻繁に起きる場合は薬物で治療することもあります。
上室頻拍(発作性)
(じょうしつひんぱく)
心臓の上室(心房や房室接合部)に余分な電気経路ができていて、その回路を使って伝導の空回りが急に起きるものをいいます。頻脈になりますが、洞性頻脈と違って突発的に起きることが多く、薬物やカテーテルアブレーションなどの治療を要することもあります。
心室細動
(しんしつさいどう)
心室の筋肉がバラバラに興奮し心臓がけいれんしている状態をいいます。心臓から送り出される血液はほとんどなくなり短い時間で意識を失います。治療が遅れると、心臓が停止してしまう危険な状態です。
心室性期外収縮
(しんしつせいきがいしゅうしゅく)
本来、心臓の収縮が指令されない心室から、通常のリズムよりも早く発生した状態をいいます。健康な人では興奮、喫煙、過労などでみられます。心臓疾患の方でみられた場合、危険な不整脈に移行する可能性を検査する必要があります。
心室内ブロック
(しんしつないぶろっく)
心室内での刺激が障害され異常な波形を示している状態であり心筋障害を有する場合があります。虚血性心疾患や心筋炎などの心筋疾患などが原因になることがあり医療機関を受診し精密検査を受けてください。原因精査のため心エコー検査や心臓CT検査などの専門的な検査が必要な場合があります。
心室頻拍
(しんしつひんぱく)
心室性期外収縮が3つ以上連続している場合をいいます。心臓病がある場合や連発の数や頻度が多い場合は、致命的になるのですみやかに正常状態に戻す必要があります。
心房細動
(しんぼうさいどう)
心房内で洞結節とは異なる無秩序な電気信号が発生し、その興奮が不規則に心室に伝わる状態です。心房の中で血流が滞り血栓を作ることがあるため、脳梗塞の予防も含めた治療が必要です。
心房粗動
(しんぼうそどう)
心房が1分間に240回以上で規則的に収縮する状態です。心室へ伝わる数が多く頻脈となっている場合や心房の中に血栓ができて脳梗塞を起こす危険があるため、治療が必要です。
高いT波
(たかいてぃーは)
心電図のT波は収縮した心臓が元に戻るときにできる波です。高いT波とは、通常はなだらかな山型をしているT波の高さが通常より高く尖鋭化することをいいます。高カリウム血症(腎不全など)や心筋梗塞の発症直後、僧帽弁狭窄症などでみられます。健常な若者でもみられることがあります。
多源性心室期外収縮
(たげんせいしんしつきがいしゅうしゅく)
心室期外収縮の発生源が複数あるため、異なった波形がみられます。発生源が1か所の単源性心室期外収縮より危険な不整脈です。
WPW症候群
(だぶりゅーぴーだぶりゅーしょうこうぐん)
心房-心室間の電気が伝わる正常なルート以外に副伝導ルート(ケント束)が存在するため心房心室伝導時間が短縮します。異常な伝導による頻拍発作がなく自覚症状もなければ問題ありません。頻拍発作の回数が多く日常生活に制限が生じる場合や失神などの重い症状を認める場合には医療機関を受診し精密検査を受けてください。
低電位差
(ていでんいさ)
心電図のQRS波の高さ(振れ幅)が小さくなる所見です。心筋梗塞などで心臓の収縮力が弱った時、体内の水分貯留や肺気腫など肺に含まれる空気が増加した時、肥満などでみられます。
洞徐脈
(どうじょみゃく)
心電図波形は正常ですが、心拍数が少ないものをいいます。心臓に拍動を指令する部位(洞結節)の異常や甲状腺機能低下症のほか、健康な人でもスポーツをよく行っている人にみられます。
洞性不整脈
(どうせいふせいみゃく)
心臓の拍動のリズムは正常ですが、興奮の間隔が不整となる状態をいいます。健康な人でもよくみられ、吸気時に心拍数が増加し、呼気時に心拍数が減少する呼吸性不整脈の一種です。
洞頻脈
(どうひんみゃく)
心電図波形は正常ですが、心拍数が1分間に101回以上のものをいいます。発熱、心不全、甲状腺機能亢進症などのほかに、健康な人でも不安・興奮・緊張などのストレス、アルコール摂取や運動で起こしやすくなります。
洞房ブロック・洞停止・洞不全症候群
(どうぼうぶろっく・どうていし・どうふぜんしょうこうぐん)
心臓に収縮を指令する洞結節の異常によって、心拍数が減少し徐脈や心停止をおこす状態を総称して洞不全症候群といいます。洞結節からの電気信号が停止する洞停止、心房に伝わらない洞房ブロックも含まれます。めまいや失神発作を起こすことがあるので、精密検査が必要です。
Ⅱ度房室ブロック
(にどぼうしつぶろっく)
心房からの刺激が心室へ伝わったり伝わらなかったりする状態です。心房心室伝導時間が徐々に延長し心室への刺激がなくなるウェンケバッハ型はあまり問題ありませんが、症状がある場合には精密検査が必要です。突然心室への伝導がなくなり心室の収縮が止まるモビッツⅡ型は心臓の病気を合併することが多く十分な精密検査が必要です。
不完全右脚ブロック
(ふかんぜんうきゃくぶろっく)
右脚の電気の流れがわずかに障害されていますが、伝導時間は正常範囲内に保たれており問題のない状態です。いわゆる異常心電図波形として指摘されますが、RSR’パターンと同様に正常者でも認めることがあり問題ありません。
平低T
(へいていてぃー)
心電図波形のT波は収縮した心臓が元に戻るときにできる波です。平低T波とは通常はなだらかな山型をしているT波が平坦になった状態で、心筋梗塞や左室肥大ではST部分の異常を伴ってみられます。健常女性や肥満でもみられることがあります。