日本人間ドッグ学会

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総合評価・領域別評価

焼津市立総合病院

総合評価

 焼津市立総合病院は昭和22年、焼津の港町に市内唯一の公立総合病院として開業した。「地域の信頼に応えるより良い医療の提供」を理念に掲げ、472床の急性期を主に診る地域中核病院であり、日本医療機能評価機構の認定を受けている。その健康管理センターは昭和58年4月に病院が現在地に移転した時に開設された。
 年間の受診者数は一日ドックが約1,000人、二日ドック2人(継続受診率73.9%)、その他の健診は約4,500人である。平成28年に「旧二日ドック指定契約施設実態調査」を行っているが、本機能評価としては新規審査である。
 「施設運営のための基本体制」では、基本方針は独自に作成されているが、パンフレットに記載するとなおよい。市立病院として規定類は整備されており、管理体制も整備されている。ただし、委託業者との個人情報の取り決めはあるが、事故発生時の明記はなく、委託業者による業務従事者への教育・研修も実施されていないため、改善を図られたい。
 「受診者の満足と安心」では、2年前の実態調査における指摘事項に対して、真摯に改善に取り組まれている。問診室と聴力検査の個室化が図られ、血圧検査は採血テーブルに仕切りを設置し、事務所と検査ブースの間にロールカーテンを設置するなど改善がなされている。
 「健診の質の確保」では、職員教育と研修が病院内各種委員会にて計画され、スケジュールに沿って行われている。接遇研修は年7回、医療安全管理研修は年11回行われ、また、新入職研修も含まれている。
 医師による結果説明は、5~10分かけて必須項目について行っており、実施率は年々増加している。保健指導と栄養指導は適切に行われている。
 精密検査や治療が必要な受診者に対するフォローアップの仕組みは整備されている。精密検査の指示率は、一部検査で高値であったが、徐々に適正化されており、継続的な改善が望まれる。
 日本人間ドック学会の調査研究には参加しており、日本人間ドック学会での発表の実績もある。
 総合的な見地から、人間ドック健診施設機能評価の認定に値すると判断する。 

領域別評価

1.施設運営のための基本的体制

 運営の主体は本院にあるが、基本方針は健診独自のものが作成され、ホームページに掲載し、施設内掲示がなされているが、パンフレットにも記載するとなおよい。職業倫理や受診者の権利は、全職員に規定を印刷した携帯用冊子を配布して周知している。中長期計画は、第四期焼津市立総合病院中期経営計画(平成28~32年度)として作成されている。年度事業計画では、部門ごとにアクションプランを作成して進捗管理を行っている。健全経営への取り組みは月2回の経営会議にて行われている。
 実態に即した組織図が作成され、見直しもなされている。健診業務運営委員会は年4回開催されている。医事会計と連携がとられ、金融機関から派遣された外部職員が料金の収受と会計処理を行い、事務職員が確認を行っている。
 情報システムの管理体制は、各部門で2名のシステム管理者を選定し、情報システム会議にて話し合われている。IDとパスワードワードは60日ごとに変更し、トラブル発生時はマニュアルに沿って対応している。
 委託契約は3年に一度見直され、委託業者と個人情報の取り決めはあるが、事故発生時の明記はなく、委託業者による業務従事者への教育・研修も実施されていないため改善を図られたい。薬剤は院内物流システムにて在庫や有効期限管理が適切に行われ、医療材料は極力在庫を置かないようにシステム化されており、評価できる。
 安全衛生管理では月1回委員会を開催し、職員健診はほぼ100%の受診率で実施されており、年1回防災訓練を実施している。感染性廃棄物は委託業者により適切に処理されている。
 企業や健保組合との契約は毎年見直されている。人間ドックや健康に関するデータの集計はされているので、今後は情報の提供方法について病院ホームページの活用などの検討を期待する。

2.受診者の満足と安心

 利便性では、乳がんと子宮がんの検診を毎日実施しており、女性受診者の心電図や超音波検査にも女性技師が対応している。また、わかりやすい受診案内書や健康調査票が事前に送付されている。
  受付時の質問に対してはマニュアルが整備され、検査の内容や注意点は問診時に保健師が説明している。検査順序は進行状況に応じて柔軟な対応がなされており、体調不良時の対応手順も明確に定められている。検査時に担当者が名乗ることになっているが、検査室に担当者名を明示することも望まれる。受診者の既往歴やアレルギー歴等は健康調査票や問診により把握され、共有されている。
  センター内の清掃はおおむね行き届いているが、委託業者によるトイレの清掃記録や職員による確認記録を残しておくことが望まれる。待合はやや手狭であるが、座席は確保されており、健康情報誌やパンフレット等が置かれている。
  プライバシーに関しては、名前を呼ぶことを希望しない受診者への対応が明文化されていないので、明確にされたい。検査室は個室化されており、身体計測や血圧測定、採血場所については、ロールスクリーン等で仕切られているが、なお一層の配慮が望まれる。また、血液検体を保管する容器には蓋などで覆う配慮を望む。
  検体検査は業務マニュアルに沿って実施されており、内部および外部精度管理も適切に行われ、管理体制は確立している。生理機能検査と超音波検査、放射線検査も業務マニュアルに沿って実施されている。検査機器の保守や点検も適切に行われ、トラブル発生時の対応手順も明確になっている。
  受診者の要望や意見はご意見箱やアンケート調査により把握し、定期的に検討して業務改善に役立てている。
  セーフティーマネージメントについては、病院の安全管理マニュアルが活用されており、事故やインシデントの報告と検討が行われ、再発防止に取り組んでいる。また、受診者の急変時への対応手順が定められている。感染防止対策については、マニュアルが作成され、職員へのワクチン接種等も適切に行われている。

3.人間ドック健診の質の確保

 医師の体制では、人間ドック健診専門医や各学会の専門医、認定医が健診業務に従事している。医療職では、保健師と看護師、臨床検査技師が配置されており、その他は病院職員と連携している。専門資格としては、人間ドックアドバイザーと糖尿病療養指導士、超音波検査士は取得されているが、胃がん検診専門技師はおらず、今後の取得を期待したい。事務部門の体制は、センター長の努力により、平成30年度に1名増員され、5名体制で行われている。
 教育体制については、病院内の各専門委員会が年間スケジュールに基づき、感染対策や安全管理を含めて実施している。しかし、健診部門対象のプログラムが行われていないので、今後の改善が望まれる。
 検査項目は人間ドック学会の基本項目が実施され、任意検査は定期的に見直されている。画像は専門的知識を有する医師とのダブルチェック体制である。判定基準は、女性の尿酸値以外は人間ドック学会の判定区分に概ね準拠している。
 当日の医師による結果説明は、5~10分かけて必須項目について行っている。実施率は年々増加しており、書面調査時51.8%であったが、訪問調査時点では84.6%と改善している。
 保健指導の実施率は2.8%から、訪問調査時点では51.0%に改善されている。体制としては、人間ドックアドバイザーを取得した保健師や管理栄養士、糖尿病療養指導士の臨床検査技師が保健指導や栄養指導を行っている。運動指導は医師の結果説明時などに説明されているが、専門資格を有するスタッフによる指導も期待したい。
 精密検査や治療が必要な受診者に対するフォローアップの仕組みは整備されている。以前は紹介状が発行されていなかったが、現在は発行されている。精密検査の指示率は、書面調査時、上部消化管X検査で26%を超えていたが、昨年度実績では13.2%であり、今後も継続的な改善を望む。
 追跡検査が必要な受診者に対するフォローアップの仕組みは整備されたところであり、今後に期待したい。
 健診の有用性の検討については、健診結果は定期的に集計しているが、精度管理への活用には至っていない。学会活動は、最近では第57回日本人間ドック学会学術大会に1演題発表があり、今年度新潟の学術大会にも参加しポスター発表をしているが、更なる活発な活動を望みたい。

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