日本人間ドッグ学会

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総合評価・領域別評価

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総合評価

 中東遠総合医療センターは、平成25年5月に掛川市立総合病院と袋井市民病院とが統合して開院された、500床を有する中東遠地域の基幹病院である。人間ドック・健診センターは、病院併設型施設として同時に開設されている。
 年間の受診者数は、一日ドックが約8,800人、二日ドックが約40人(継続受診率82.4%)、その他健診は約7,800人である。本機能評価は、初回の審査である。
 運営のための基本的な体制の面では、病院機能評価を受審していることもあり、適切に整備、運用されている。理念や基本方針は新たに健診センター独自のものが掲げられていた。情報管理体制については、管理室やサーバー室への入室は規制され、二重三重のセキュリティが設けられており評価できる。
 受診者の満足と安心の面では、本施設は1階に専用入口があり、ドック専用エリアが設けられている。フロアはゆとりがあり、清潔で快適な空間となっている。一部の検査は病院で実施されているが、一般の外来患者と混在しないように、待合を設けるなど工夫されている。検査室や指導室は個室となっており、計測コーナーはカーテンによる間仕切りが設けられ、プライバシーにも配慮されている。
 健診の質の確保の面では、医師は健診センター専任、または病院との兼任で配置されており、人間ドック健診専門医や人間ドックアドバイザーの資格を取得している。看護師や保健師、その他の医療職、事務職も充実している。医師による結果説明は健診当日の午後に行われているが、実施率は70%前半であり、向上に向けたさらなる工夫が必要である。
 受診後のフォローアップについては、対象者がシステムによりリストアップされ、マニュアルに基づいて実施されている。がん発見を目的とした精密検査の指示率および実施率はともに適切である。今回の受審を機に追跡検査の体制整備も図られ、適切と判断する。今後、保健指導等との更なる連携や、得られたデータの活用など、内容が充実し体制として確立することを期待したい。
 総合的な見地から、人間ドック健診施設機能評価の認定に値すると判断する。 

領域別評価

1.施設運営のための基本的体制

 理念や基本方針は健診センター独自に掲げており、施設内やホームページに提示されている。職業倫理については、必要に応じて病院の対策委員会が開催され、センターからも参加している。相談窓口などが組織的に整えられており、研修会で周知され、イントラネットには様式集が備えられている。受診者の権利は受診者に明示されており、カルテ開示等はフローに沿って対応している。
 中期計画や年度事業計画は病院として作成され、健診センターについても記述されており、健診センター運営会議などで職員に共有されている。
 実態に即した組織図や委員会・会議一覧が作成されている。センター長を含む管理会議が定期的に開催されている。
 財務処理については、健診料金の管理と会計処理が適切になされている。
 情報システム管理に関しては、サーバー室は病院の情報管理室にあり、管理室への入室には厳しい規制が設けられている。さらにサーバー室への入退出には専用カードが必要で、二重三重のセキュリティが設けられており評価できる。
 委託業務管理については、業者の選定、見直し、契約、教育など病院の管理部門が行っている。薬剤と診療材料の管理は、院内物流管理システムを活用しており、在庫管理の適正化も行われている。
 安全衛生管理については、職員健診や防災訓練が実施され、感染性廃棄物等も適正に処理されている。
 企業・健保組合との契約は適正で、要望にも柔軟に応じて、受診率の向上に努めている。また、院内報を活用し、地域に発信することで国保加入者の受診数も年々増加している。地域住民向けのセミナーにおいても健診に関するテーマを取り入れるなどして情報を発信している。

2.受診者の満足と安心

 快適な受診への配慮として、乳がんと子宮がんの検診はレディースコーナーで行われ、腹部超音波検査も女性技師を指名することが可能である。受診案内書や問診表も分かりやすい内容となっている。
 受付の対応は適切で、フロアには1名のコーディネーターが配置されており、検査への誘導や体調不良者への対応が行われている。受診者の既往歴等の情報は健診システムに記録されており、受診時にスタッフに共有され活用されている。上部消化管内視鏡など一部の検査は病院との併用であるが、一般の外来患者とは混在しないように工夫されている。
 独立した健診フロアは清潔で、絵画も掲げられ、快適な空間となっている。食堂は見晴らしがよく、管理栄養士が監修した弁当が提供されている。病院敷地内は禁煙が徹底されている。
 プライバシーに関しては、呼び出しは原則名前であるが、番号による呼び出しにも対応している。検査室や指導室は個室化され、受付は間仕切りが設置されている。計測コーナーはオープンスペースであったが、カーテンによる間仕切りが新たに設置された。
 検査の管理体制については、検体検査の内部精度管理は適切で、外部精度管理サーベイの成績も良好である。検査機器の管理は、マニュアルが作成され、定期点検も適切で、トラブル発生時の対応体制も確立されている。
 業務改善の仕組みについては、意見箱が設置されているが、投書は年間数件と少なく、投書の呼びかけに工夫が必要である。アンケートは年に1回1週間実施され、改善に活用されている。今後、受診者の意見を集める機会が増やされると良い。健診センター全体会議で業務改善に継続的に取り組まれている。
 セーフティーマネージメントと感染対策については、病院全体で取り組んでおり、体制は確立している。健診センタースタッフは全員BLS研修を修了している。

3.人間ドック健診の質の確保

 医師の体制については、人間ドック健診専門医1名を含む3名の医師が診察と結果説明を担当し、その他の専門医や認定医も読影や判定に従事しており、体制は整っている。医療職は、健診センター専任と病院との兼任により充実しており、必要な専門資格も取得している。事務職員の体制も整っている。
 職員の教育体制については、病院全体の年間教育スケジュールに従って全職員が研修に参加している。職種ごとに個人で専門の研修に参加しており、報告を兼ねた伝達講習会も開催されている。今後、健診センター独自の専門教育体制の確立が望まれる。
 検査項目は、日本人間ドック学会が提示する項目が実施されており、判定基準も準拠している。画像は放射線科専門医と内科診察医による二重読影がなされており、技師による読影カンファレンスに医師も参加している。心電図は循環器専門医が判定し、眼底写真は眼科医が読影している。
 健診結果は健診システムにより管理されており、画像もファイリングシステムに保存されている。
 健診当日の医師による結果説明は午後に行われており、実施率は一日ドックで72.7%となっている。今後、午前中に開始するなど実施率を向上させる工夫が望まれる。
 保健指導は、医師の結果説明を受けた受診者全員に対して、保健師および管理栄養士がマニュアルに基づいて適切に行っている。保健指導が定着していることは評価でき、二日ドックでは運動指導も開始されたところであり、今後も継続的な取り組みを期待したい。
 受診後のフォローアップについては、精密検査や治療が必要な受診者がシステムにより抽出され、マニュアルに基づき行われている。がん発見を目的とした精密検査の指示率と実施率は適切である。精密検査や治療の結果は電子カルテと健診システムに記録されており、今後、統計資料などへの活用を期待する。
 追跡検査が必要な受診者に対しては、保健指導時に再検査の案内がされている。今回の受審を機に、再検査受診の把握体制が整備され、実績も良好である。今後も継続的に取り組まれ、体制が確立することを望む。
 人間ドック健診の有用性の検討については、人間ドック学会や総合健診医学会などで発表もされている。

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