日本人間ドッグ学会

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総合評価・領域別評価

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総合評価

 国保水俣市立総合医療センター健康管理センターは、病院併設型の健診施設であり、平成5年に新設されている。熊本県南部の鹿児島県との県境に位置しており、鹿児島県北地域をはじめ県外からの受診者も受け入れている。併設病院は救急医療から高度先進医療を備え、日本医療機能評価の認定を平成25年に更新している。
 健康管理センターは病院の一部門としての位置付けであるため、病院との兼務者が多いが、健診部門職員の意思統一が図られ、健診に対する意欲は高い。旧優良二日ドック指定施設であり、平成27年8月にプレ調査を受け、本機能評価は今回が新規の受審である。
 年間の受診者数は、一日ドックが約580人、二日ドックが約120人、その他の健診は約3,600人である。
 運営・管理体制は病院主体である。施設の理念と基本方針、受診者の権利は、院内に掲示されており、今後パンフレットやホームページへの記載も望まれる。事業計画や事業報告は病院主体で確立されている。病院の各種委員会には、健診部門からも参画している。今後、スタッフ体制を含めて健診部門のさらなる独自性を望みたい。
 受診者の満足と安心の観点からは、受診者の要望を把握し、受診し易いように配慮されている。検査は病院の各科外来を回って実施されるため、動線が長く複雑であり、継続的な配慮が必要である。
 健診の質の確保の面では、センター長や保健看護職、管理栄養士が人間ドックに関わる資格を取得されることを望む。教育体制は病院を中心として、外部や院内の研修会が実施されているが、健診部門を対象としたプログラムも検討されたい。健診当日の結果説明は全員に実施され、保健指導の体制も構築されており、評価したい。これら当日の体制と、今回の受審を機に整備された追跡検査のフォローアップ体制との連携を図り、今後のさらなる充実を期待する。
 総合的な見地から、人間ドック健診施設機能評価の認定に値すると判断する。 

領域別評価

1.施設運営のための基本的体制

 施設の理念と基本方針は定められ、センター内に掲示されているが、判り難いためパンフレットやホームページへの記載も望みたい。職業倫理については、倫理委員会にセンター長が参加しており、職員の相談窓口もある。受診者の権利・責務は明示されているが、ホームページ等にも記載されるとより良い。
 事業計画や事業報告は病院主体で作成されており、年2回のヒヤリングと評価が行われている。
 組織体制は、病院の一部門として組織図や委員会一覧で明示されている。検査室等は病院の直轄で、兼務スタッフが多く、会議体と指揮命令系統は健診部門単独では確立していない。日常のスタッフミーティングは開催されているが、健診全体の管理会議が必要と考えられる。
 料金収納及び会計処理は、病院医事係が担当し、適切に処理されている。
 情報システムの管理体制は病院主体であり、マニュアルが作成され、パスワードの更新を含め管理されている。委託業務の管理についても、病院窓口が選定基準や契約、委託業務従事者の教育等をチェックしている。薬剤や診療材料等は院外SPDを採用して在庫管理をしており、健診部門に関しては、病院薬剤課が管理している。
 安全衛生管理体制については、病院の安全衛生委員会が開催され、職員の定期健診の他、ストレスチェックも実施され、防災マニュアルが整備されている。感染性廃棄物等の処理も適切に管理されている。
 企業や健保組合等との個別契約書は適切に管理・保管されている。センターからの統計資料のフィードバックなど、情報提供はさらなる取り組みを期待する。

2.受診者の満足と安心

 利便性への配慮については、受付時間の設定や女性受診者への対応は適切で、わかりやすい受診案内書が作成されている。
 受付や検査開始時の説明などが適切に行われ、検査の進行や質問に対するマニュアルも作成されている。しかし、診察室や検査室の担当者の表示が不明確で、名札の文字も小さいため、検討を期待したい。既往歴などの受診者情報は前日のミーティングで共有され、体調不良者への配慮もされている。
 検査は病院の各科を回るため、動線が長く、一般外来患者と動線が重なる。順路もややわかりづらかったが、今回の受審を機に床に案内の矢印が表示されるなど工夫が図られたことは良好であるため、今後も継続的に検討されたい。
 プライバシーに関しては、名前での呼び出しを希望しない受診者への配慮や、結果の取り扱い時の配慮など、適切である。守秘義務の教育や研修も行われている。検査や診察は個室で実施され、待機場所や計測場所でのプライバシー確保にも努めている。採血は健康管理センター内で行われるが、検体が他の受診者の目に触れないように配慮されたい。
 検査の管理体制については、検体検査は病院内で行われ、内部精度管理と外部の精度管理が適切に行われている。生理検査や超音波検査、放射線検査の管理体制も確立されており、検査機器のトラブル発生時対応マニュアルが備えられ、担当者や連絡体制も定められている。
 業務改善への取り組みについては、受診者の要望をアンケートやご意見箱で把握して、業務改善を継続的に行っている。毎日のスタッフミーティングや関係部署とも共有し、アンケート結果は、待合室等に設置して受診者にも周知している。
 セーフティーマネージメントと感染対策については、病院として確立され、健診部門でもこれに準じて職員の感染防止に努めている。受診者の急変時の対応マニュアルが作成され、一室を急変用に備えるなど配慮されている。

3.人間ドック健診の質の確保

 スタッフ体制については、健診専任で医師、看護師、保健師、管理栄養士、事務職が配置され、受診者数に対して整備されている。併設病院から各診療科の専門医や認定医、その他人員の協力を得て円滑に運営されている。今後、専任医師は人間ドック認定医を取得予定であり、取り組みを期待する。また、保健指導やフォローアップの充実のため、保健看護職などの増員が望まれる。人間ドックアドバイザーの資格取得も期待したい。
 職員教育については、研修会や講習会が病院主体で実施されている。看護師に対する階層別教育プログラムが作成されており、事務職にも実施を期待する。
 検査項目は、人間ドック学会の基本検査項目に準拠している。結果判定は専門医(眼科を除く)により実施され、画像診断は全て二重読影が行われ、医師のサインも明示されている。過去の健診結果はシステムで管理され、結果説明時に提示されている。最終結果報告書には今回と過去の結果3回分が記載されるように変更予定である。
 健診当日の医師による結果説明は、画像を含めて全受診者に実施されており評価できる。今後の受診者数の増加にも対応できる体制づくりに期待したい。
 保健看護職による保健指導は、実施数が少ないため体制づくりが望まれる。管理栄養士による栄養指導は30.2%の実施率であり、今後も継続的に取り組まれたい。
 健診後の対応については、健診結果に対する質問や相談窓口は看護師が対応しており、マニュアルも作成されている。
 精密検査や治療が必要な受診者に対するフォローアップは、紹介状の発行や未受診者への受診勧奨を行っている。併設病院で速やかに受診できる協力体制もあり、今後は他施設希望者への対応の整備に期待したい。また、上部消化管X線の精検指示率高く、継続的な検討を望む。
 生活習慣病の追跡検査者のフォローアップについては、今回の受審を機に体制が整備されたことは評価したい。対象者には、健診当日と、再検査時期に受診勧奨を行っており、今後も継続的に取り組み、より良い運用に向けてさらなる工夫を検討されたい。
 紹介医療機関との連携強化、紹介及び返信対処方法などの情報交換が望まれる。また、把握した結果を次回健診に活用する体制の整備にも期待する。
 健診の有用性の検討については、人間ドック学会の調査研究に参加しているため、今後さらなるエビデンスの収集と分析、検討を行い、人間ドック学会への発表を期待する。
 

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