日本人間ドッグ学会

  • ホーム
  • よくある質問
  • お問い合せ

総合評価・領域別評価

横浜市立みなと赤十字病院

総合評価

 横浜市立みなと赤十字病院は、平成17年に開院し、市民のための市立病院と、日本赤十字社が指定管理を行う赤十字病院という双方の役割を担い、高度急性期医療を充実させるべく努力されている。地域医療支援病院や災害拠点病院、がん診療連携拠点病院などの機能を有し、地域での医療連携を推進している。
 健診センターは、当初は健診係として発足し、平成24年に健診センターとして組織的に位置付けられ、地域住民の健康増進を図っている。人間ドックは、多様なコースとオプション検査の組み合わせによる「オーダーメイドヘルスチェック」を提供している。また、病院機能により横浜市の全種類のがん検診を受け入れ、胃がん内視鏡検診などの二次読影の役割も果たしている。
 年間の受診者数は、一日ドックが約1,600人、二日ドックが約290人、その他の健診が約3,400人である。
 本機能評価は初めての審査である。健康増進への実直な姿勢、良質な健診サービスの提供や疾病予防の貢献への努力・工夫が見られ、健診センター長を中心とした組織活動は評価したい。
 運営の基本体制については、理念や基本方針、諸規定が整備され、受診者の権利も周知されている。長期計画に則り年次活動がなされ、組織体制も確立している。健診センター運営委員会やミーティングにより、組織的に課題に取り組んでいる。財務処理や情報システムは病院全体で管理されている。健診だよりや市民公開講座の開催など、地域への健診情報の提供は特筆に値する。
 健診の実施の面では、各部署の業務マニュアルなどが整備され、一定のサービスが提供されている。コーディネーターによりスムーズな実施に配慮されているが、健診専用スペースは十分ではなく、プライバシー面で配慮を望む点がある。検査の管理体制は確立している。受診者の要望を把握し、業務改善が図られている。
 健診の質の確保の面では、健診センター長が人間ドック健診専門医の資格を有しており、各科の専門医や認定医も関与している。保健師や看護師などの体制は実態に即しているが、指導面から管理栄養士などの関与を工夫されたい。職員教育は病院全体で行われ、健診センター独自でも実施し、各職種の研修も図られている。画像検査の読影体制は整っており、全ての受診者に対して当日に結果を説明している点も評価したい。要精検指示者へのフォローアップ体制は確立しており、併設病院の電子カルテとの連動により情報共有もなされ、受診者にとって安心できる環境である。また、健診結果の分析が行われ、学会活動も積極的に行われている。
 総合的な見地から、人間ドック健診施設機能評価の認定に値すると判断する。 

領域別評価

1.施設運営のための基本的体制

 理念と基本方針、また受診者の権利は、施設内掲示やパンフレットへの掲載などで周知され、見直しも行われている。就業規則などの規程類は、日本赤十字社の組織規程に則り定められ、院内LANで全職員が確認できる。職業倫理に関しての相談体制も確立している。
 病院で5ヶ年の計画が作成され、健診の質・人材育成・地域貢献の3本柱で計画を明示し、実績を評価する仕組みである。事業計画に基づく報告や目標管理も行われている。健診センターでも収益面を予算化し、課題を健診センター運営委員会などで検討している。
 病院の組織図や委員会組織図、センターの組織図は明確で、健診センター運営委員会や全職員参加のミーティングが開催されている。財務処理については、請求書発行までをセンターが行い、料金収受や会計処理は病院が担当している。月次決算は病院管理者会議などで報告され、収益面はセンターでも報告されている。
 情報システムは病院で管理しており、ID・パスワード管理が行われ、データの取り扱いやアクセス制限、トラブル発生時の対応も適切である。
 委託業務管理については、業者の選択や契約は病院が担当し、毎年関係部署でも評価を行っている。委託従事者から毎月提出される業務完了報告書にて実態を確認している。薬剤や診療材料は全てSPDで供給され、委託業者が役割を担い、発注や検収の内部牽制も機能し、在庫管理も良好である。
 安全衛生管理については、センター長は労働安全衛生委員会の委員であり、衛生管理者・産業医として活動している。非常勤医も含めた職員健診の受診率は100%であり、ストレスチェックも行われている。大規模災害にも備えた対応がなされている。感染性廃棄物や個人情報に関する書類の処理も適切である。
 企業や健保組合との契約はセンターで管理され、検査内容や料金変更時には説明がなされている。年4回の健診だよりや生活習慣病予防の指導用パンフレットを施設内に配置し、献血ルームでの健康相談や市民公開講座「みなとセミナー」を行っており、情報提供や啓発活動は評価できる。

2.受診者の満足と安心

 利便性への配慮については、平日の午後に乳房や子宮、甲状腺検査を含むレディースドックを設定している。女性受診者には、女性の医師や技師が対応するよう配慮している。検査項目はオプション検査も充実し、ホームページでも分かりやすく説明されている。
 各部署の業務マニュアルは整備されている。コーディネーターの配置により、柔軟な検査の流れにも配慮している。同意書などは病院と同じものを使用し、事前に送付している。既往歴などの受診者情報も把握しており、経年受診者の前年の留意点などは前日のミーティングで確認している。
 2階の健診専用フロアで実施する健診項目は少なく、画像検査や内視鏡検査は病院の施設を利用しており、心電図や超音波検査は1階のため動線も長くなる。ただし、病院での検査は、早い時間帯を健診用とし、外来患者との動線の交差が最小限になるよう配慮がなされている。健診フロアの室温は、病院の設定温度とは別に設定し、管理日誌に記録されている。
 プライバシーの確保に関しては、検査室は基本的に個室である。超音波検査や心電図検査はカーテンの仕切りであり、検査時の声かけの大きさ等に配慮されているが、今後は病院と連携しての個室化も検討を期待したい。また、採血、身長・体重測定、視力・聴力検査、眼底検査はセンター内の一部屋で行われており、パーティションなどの工夫が望まれる。
 検体検査の内部及び外部精度管理は適切で、月1回の検査部運営会議で検討されている。パニック値は病院の基準値よりもやや厳しい値としており、発生時の連絡体制も常勤医を中心とした体制が確立されている。生理検査や超音波検査、放射線検査の管理体制も適切である。
 受診者の意見は、定期的なアンケート(待ち時間、満足度等)の実施や投書箱の設置により集められ、業務や施設の改善に取り組んでいる。
 医療安全と感染症対策は病院と連携しており、センターのインシデント・アクシデントは病院の委員会へ報告し、対策が検討されている。

3.人間ドック健診の質の確保

 センター長が人間ドック健診専門医の資格を有し、非常勤の人間ドック認定医も診察・結果説明に関与している。各科の認定医や専門医が関与し、医師の体制は確立している。保健師と看護師は各2名を健診専従とし、臨床検査技師や診療放射線技師は病院兼務で対応し、超音波検査士などの専門資格も取得している。今後は、指導面から管理栄養士の関与を望みたい。
 職員教育は病院全体で行われ、不参加者にはフォローの仕組みがある。研修の実態は病院の教育研修推進室で把握しているが、健診センターでも実態の確認を望む。職種ごとの専門教育は、センターでも独自の職種別教育プログラムを作成し、ショートセミナーや勉強会などを実施している。
 人間ドック学会の基本検査項目は網羅され、施設独自のオプション検査も多様な項目から選択でき、項目は毎年見直されている。画像の読影は、放射線科専門医他、各種専門医によりダブルチェックされている。判定基準は、人間ドック学会の判定区分に概ね準拠しており、各科と検討のうえ設定している。
 眼底検査以外の全ての健診結果をシステムに取り込み、開院時からの全データを保管している。過去のデータは容易に参照でき、結果表には前々回までの結果を掲示している。
 健診当日の医師による結果説明は、身体測定や血圧、尿、血液検査、胸部X線検査について説明しており、全受診者に行われていることは評価できる。
 保健指導は医師の指示や受診者の要望で実施しており、保健師による指導の実施率は13.4%である。栄養指導や運動指導は、必要時に管理栄養士や理学療法士に相談する体制であるが、実績の向上に向け今後の取り組みを期待したい。
 受診後のフォローアップについては、要治療や要精検の場合、診察依頼書や精密検査依頼書を結果表に同封し、返信は健診システムで管理し、未受診者は3ヶ月後に書面で受診勧奨している。精密検査の指示率や実施率は良好であり、次回受診時や精度管理に活用されている。追跡検査のフォローアップ体制も同様であり、取り組み姿勢は評価でき、今後は実施率の向上を期待したい。
 健診の有用性の検討については、年度ごとに受診者数や要精検指示率・実施率、がん発見率などがまとめられ、健診センター運営委員会などで報告され、市民公開講座でも発表されている。学会などが行う調査やがん症例調査に参加し、人間ドック学会学術大会などでも発表し、優秀口頭演題もある。さらに英文でも発表し、その活動は高く評価したい。

<<<機能評価認定施設一覧へ戻る

PAGE TOP