日本人間ドッグ学会

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総合評価・領域別評価

立正佼成会附属 佼成病院 健康管理室

総合評価

 立正佼成会付属佼成病院 健康管理室は、同病院の健診部門として併設されている。平成9年に同健診センターが設立され、平成26年の佼成病院の新築移転(中野区 ⇒ 杉並区)に伴い、新たにリニューアルされた施設である。人間ドックをはじめ、区民健診など地域住民の健康サポートを行い、広く健診事業に貢献している。
 年間の人間ドック受診者実績は、一日ドックが約2,700人、二日ドックが約70人(継続受診率64.1%)、その他の健診が約4,800人で、現状は小規模ながらも順調に実績を伸ばしている。本機能評価は初回審査である。
 「施設運営のための基本体制」では、病院を主体に整備されており、健康管理室としての取り組みもある。
 「受診者の満足と安心」では、病院内は全て色覚バリアフリー(色覚に不安な方にも情報がきちんと伝わるよう色使いに配慮されている)を採用しているため、絵画や観葉植物の設置はされていないが、全体的に明るく清潔感が保たれた施設である。
 健康管理室は病院の1階スペースで運営されているが、MRと内視鏡検査、及び注腸検査が病院との共用になっている。そのため、検査の際は病院内へ移動となるが、距離的にも近く受診者の移動は容易である。待合通路には各種の健康情報(塩分、糖分、運動、飲酒、喫煙など)や検査に関するパンフレットが配置され、生活習慣の改善に関する呼びかけも積極的に行われている。
 プライバシーに関しては、身体計測と血圧、採血、視力、眼底、眼圧が一室で行われているが、受診者の安全面からも空いている他の部屋の有効活用を検討されたい。アンケート調査は毎日全員に実施され、受診者の声に対し迅速な対応に努めており、優れている。
 「健診の質」では、画像等の判定はダブルチェックで、当日の医師による結果説明と保健師による保健指導は全員に実施されており、評価に値する。
 受診後のフォローアップについては、精密検査指示率の4項目で10%以上とやや高く、また、受診率の3項目で50%以下と低いため、検討と対策が望まれる。 生活習慣病の追跡調査に関しては、仕組みはあるが、受診率は僅かである。また、1年未満に追跡調査が必要な対象者とC判定対象者との関係について確認を要する。
 健診の有用性の検討では、今後はさらに学会発表やフォローアップ体制の確立にも努力されることに期待したい。
 総合的見地から、人間ドック健診施設機能評価の認定に値すると判断する。 

領域別評価

1.施設運営のための基本的体制

 病院の理念と健康管理室独自の基本方針と受診者の権利を定め、パンフレットやホームページに掲載し、職員への周知も適切である。職業倫理に関する体制は病院で整備されており、職員の相談窓口も含め院内のイントラで閲覧できるなど、適切なマネジメントが行われている。
 事業計画については、中期長期計画は作成されていないが、病院の承認を得て年度事業計画が進められている。また、事業報告書として「年報」が毎年作成され、病院を含めた全体の実績や主な活動内容について報告されている。
 組織体制は病院全体、及び健康管理室単独としても確立されており、各種の会議体系が明確に機能している。収納及び会計処理は病院の財務課が担当し、会議での実績報告やチェック機能も適切である。
 情報システムは病院の情報管理課が担当しており、緊急時の対応マニュアルやアクセス制限の設定も整備され、サーバ室の施錠や入退室の記録チェックも適切である。委託業務は、病院が契約している委託業者(病院内に常駐)が窓口となって業者の選定や評価、発注関係をまとめて行っている。薬剤や診療材料は病院の薬剤部によって管理され、使用期限チェックや在庫管理、及び劇薬の保管を健康管理室が行っている。
 安全衛生管理体制では、職員の誕生月健診や病院全体として年3回防災訓練を実施している。また、感染性及び産業廃棄物処理や個人情報に関するデータ処理についても適切な管理が行われている。
 企業や健保組合との契約は適切で、渉外担当者は不在であるが、地域住民や保険者との関係は良好に進められ、年々実績も伸ばしている。また、病院の1階ホールを使ってのセミナー(糖尿病やマタニティ等)やピアノ、フルートの演奏会などが毎週開催されるなど積極的な交流も実践されている。今後も病院の理解と協力を得ながらより多くの受診者獲得に期待したい。

2.受診者の満足と安心

 利便性では、レディースデイの設定はないが、乳がん検診と子宮がん検診が女性医師と女性技師により毎日実施されている。
 受付や検査開始時の対応については、時間差受付を行い、受付手順や質問に対応するマニュアル、また検査内容を説明するマニュアルが整備されているが、実施者はその時々で変わるので、責任者を明らかにすることを期待する。
 エスコートが配置されており、受診者の既往歴等の情報は健診システム内に取り込まれ活用されている。職員は名札を着用し、検査担当者氏名が診察室や検査室に大きく表示されている。
 施設内は清潔で落ち着いた印象のフロアで、色覚に不安のある方に配慮したカラーユニバーサルデザイン認証を日本で初めて取得した医療施設である。保健師が作成した健康に関する種々のパンフレットが用意されていて、待ち時間を利用して健康情報の収集ができる。
 プライバシーの確保については、名前での呼び出しを希望しない場合は番号で対応できる。診察室や検査室は個別に仕切られているが、計測室は一室で身長や体重、血圧、視力、眼底さらに採血など、多くの検査が同時に行われていて、他の受診者から見えなくする配慮が必要であり、改善が望まれる。 尿検体は自宅で採取して受付で提出するやり方で、採血後の採血管の回収は人目につかないように配慮がなされ、回収も迅速である。検査結果の取り扱いについては、守秘義務に関する取り扱い規定があり、個人情報は保護されている。
 検体検査は併設病院の検査室で行われ、内部及び外部精度管理が適切に実施されている。各検査機器の担当者が決められ、トラブル発生時の対応マニュアルが整備され、管理は適切に行われている。
 受診者の意見や要望を把握するために、毎日受診者全員に対してアンケート調査を実施し、回収率は100%である。意見や要望に対して迅速に対応できる体制があり、業務改善に役立てている。
 セーフティーマネージメントの体制では、インシデント・アクシデントレポートが報告・分析され、再発防止が図られている。受診者の急変時対応へのマニュアルが整備され、緊急時コールやAEDの設置なども適切である。感染対策は整備されており、職員への予防接種も適切に行われている。

3.人間ドック健診の質の確保

 医師の体制は人間ドック専門医が1名、認定医が2名専任で勤務し、各専門医も従事しており良好である。看護師や保健師等の医療職、また事務職の体制も整っている。職員教育については、年間教育計画にしたがって研修会が実施されている。各職種の専門教育は研修規定に基づき実施され、体制は整っている。
 検査項目は適切で、検査項目の変更については新しいオプション検査項目の情報収集を行い、導入について定期的に検討が行われている。画像検査は専門医を含めたダブルチェック体制で、心電図や眼底検査結果は各専門医が判定している。判定基準は人間ドック学会の判定基準に準拠している。
 当日の健診結果の説明は2名の医師により午前11時から開始される。画像結果を含め、一人の受診者に15~20分間で全員に説明が行われている。その後、保健師による保健指導が受診者全員に実施されている。
 受診後の検査結果への相談や質問に対しては、マニュアルが作成されていて、保健師や看護師が当番制で対応する体制となっている。精密検査のフォローアップはマニュアルが作成されていて、報告書に受診勧奨の紹介状を同封しているが、精密検査の結果に関する把握が乏しく積極的な取り組みが望まれる。特に精密検査指示率では4つの検査項目で10%以上とやや高く、精密検査受診率は3つの検査項目で50%以下と低いため、検討と対策が望まれる。生活習慣病の追跡調査に関しては、マニュアルが作成され仕組みはあるが、受診率は僅かであり今後の積極的な取り組みと充実を期待する。また1年未満に追跡調査が必要な対象者とC判定対象者とを把握する仕組みを構築して間もないため、把握は低率にとどまっており、さらなる努力が望まれる。
 健診の有用性の検討では、健診結果についての統計や分析が行われていないので改善を要されたい。また健診に関する演題発表や論文はなく、積極的な取り組みが強く望まれる。

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