日本人間ドッグ学会

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総合評価・領域別評価

医療法人社団せいおう会 鶯谷健診センター

総合評価

 医療法人社団せいおう会・鶯谷健診センターは社会保険関連施設から平成21年に民営化された。同ビル内に人間ドックの他、健康診断や生活習慣病健診専用の独立した健診フロアがあり、さらに併設のクリニックや巡回検診等も含め、予防医療を総合的に提供できる大規模健診施設である。
 受診者数は、一日ドックが年間の約22,000人(継続受診率73.5%)である。二日ドックは今年から実施していない。本機能評価は、今回が初めての受審である。
 施設運営のための基本的体制については、理念や基本方針が明確で職員に浸透している。人間ドックだけで一日90人、その他の健診をあわせると一日の受診者数が400人を超え、全国でも有数の大規模施設であるが、多くの職員を適正に配置して効率の良い運営が行われている。
 受診者の満足については、民営化を契機に施設のハード面とソフト面共に大幅リニューアルされ、快適な受診環境が提供されている。接遇や着座のまま対面で行われる受付等の洗練されたサービスは、航空会社のマニュアルをベースにしている。木目調の落ち着いたデザインの内装と併せて、ホテルのロビーを思わせる落ち着いた雰囲気が演出できている。
 健診の質については、脳検査や腹部CTを加えたプレミアムドックや臓器別ドックをはじめ、オプション検査も多数設定されており、受診者の多様なニーズに対応できるしくみも構築されている。医師による面接がほぼ全員に実施されており、高く評価出来る。一方、受診後のフォローアップ体制については、一部の検査で精密検査実施率が低く、引き続きの検討を望みたい。
 今後は健診フロアの改装を含め、さらに人間ドックの充実を図る計画も予定されている。現状に満足しない積極的な運営からは、健診の質と受診者サービスのさらなる向上が望めると期待できる。
 総合的な見地から、人間ドック健診施設機能評価の認定に値すると判断する。 

領域別評価

1.施設運営のための基本的体制

 理念と基本方針は、受診者、職員の双方に周知されている。「CSR(企業の社会的責任基本方針)」や「健診センターのテーマ」、「こだわりキーワード」等が定められており、方向性を具体的に示す取り組みは評価したい。年度事業計画と中期計画は、詳細で具体性もあり、年度初めの「キックオフミーティング」では事業計画が発表され、全職員に周知されている。毎月開催の幹部会議では実績等の分析と検討が行われている。また、日々の健診人数等は、幹部全員の携帯端末に配信するしくみがあり、運営実績がタイムリーに共有できている。
 職種や業務内容、派遣等の詳細が明確になった組織図の他、それぞれの相関を示した委員会の構成図があり、組織体制は確立している。会議や委員会活動は活発で、議事録も適切である。料金の収受はマニュアルに基づいて行われ、会計処理は法人の経理部が行い、比較分析された月報が各種会議に提示されている。
 健診システムについては、法人の担当者により適切な管理体制が構築されている。端末へのアクセスは社員証のICカードで管理され、院内のサーバー室は施錠管理がされている。今後は入退室記録の徹底を期待する。委託業務については、評価を行う詳細なチェックリストがあるが、二年目以降が不定期であり、継続的な評価を望む。薬剤及び診療材料は、担当者が経理部に発注し納品の検収を行っている。
 安全衛生管理については、毎月委員会が開催され、職員検診や消防訓練等の防災対策が適切に実施されている。感染性廃棄物と個人情報関連の書類の処分はマニュアルに基づき確実に行われている。
 企業や健保組合との契約は適切で、地域のイベントに健診体験ブースを出展する等、啓蒙活動にも積極的である。また、ホームページには、検査の注意事項から結果の見方までわかりやすく掲載されており、受診前後の不安や疑問を解消できる内容となっている。また産業医活動も活発で、契約件数は250件と多い。

2.受診者の満足と安心

 利便性では、男女別の待合が設置され、隔週土曜日にドックを実施している。子宮がん検診は女性の婦人科医師が、乳房触診は女性医師と男性医師である。
 受付は3名で時間差受付が実施されており、マニュアルに沿って検査の流れが説明されている。4名のアテンダントが各検査に案内しており、体調不良発生時の対応についてもフローチャートが作成されている。担当者名は敢えて掲示をせず、名札を着用したスタッフが受診者全員に自己紹介をするように徹底している。
 施設内は禁煙で、調度品を含めた内装や受付担当者の服装などは、医療施設という雰囲気を極力緩和するようにきめ細かく配慮されている。男女別の待合は指定席となっており、座席にタブレット端末が配置され、健康情報の他、インターネットやゲームもでき、待ち時間対策もなされている。今後はよりわかりやすい健康情報の提供を行うと更に良いと考える。
 プライバシーに関しては、名前を呼ばれることを希望しない受診者への対応は適切である。検査室や診察室は個室であるが、採血ブースは背後から見え、身体測定と肺機能検査室はドアがガラス張りであり、継続的な配慮をお願いしたい。また、採血時の検体が人目につかぬよう、配慮が必要である。個人情報に関してはプライバシーマークを取得しており、問い合わせ時の本人確認も徹底している。
 検体解析は施設内のブランチラボで実施され、パニック値の対応を含め業務マニュアルに基づいて行われており、内部ならびに外部精度管理も適切である。検査機器の管理では、検査ごとに業務マニュアルが作成され、トラブル発生時の対応や日常点検・定期点検が適切に行われている。
 受診者からの意見や要望の把握は、年1回1カ月間、期間限定でアンケートを実施している。今後は常時実施も期待したい。業務改善では、外部コンサルタントの活用や、改善結果をドック学会で発表するなど、積極的に取り組まれている。
 セーフティマネージメントについてはマニュアルに基づいて適切に行われており、インシデント・アクシデントレポートに関する体制も確立している。急変時の対応では、トイレにナースコールが設置されているが、ドックフロアのAEDの設置と、年1回BLS研修を全職員が受講する体制作りを期待する。感染防止対策では、熱発時の対応についてマニュアルへの記載を望む。インフルエンザの予防接種は全職員が対象で、B型肝炎は定期健診時の抗体価に応じて実施されている。

3.人間ドック健診の質の確保

 スタッフの体制については、常勤の人間ドック健診専門医をはじめ各専門医が、非常勤医師も含め適切に配置されている。医師以外の医療職や事務職については十分な人数が配置されているものの、人間ドック健診情報管理指導士については未取得であり、今後の取得を期待する。
 職員教育については、幅広い内容の年間教育計画が作成され、外部研修会への参加も活発である。専門教育では、コメディカル対象の独自の昇格試験を設け、外部講師による接遇教育を頻繁に実施しており評価できる。さらに、接遇では不定期に覆面調査を行って評価を継続する等、成果の確認もされている。
 検査項目は、ドック学会の基本検査項目が概ね実施されているが、眼圧検査が一日ドック基本項目に含まれていないため改善を望む。画像の読影は専門医による二重読影が行われているが、心電図判読に循環器専門医の関与がなく、眼底写真はシングルチェックである。今後は読影医に要精検指示率の情報を定期的に提供する等、精度管理の充実を期待する。
 医師による結果説明は平均約5分~10分で、ほぼ全員に対して実施されている。その後、保健師や管理栄養士による保健指導が7~8割の受診者に対して実施している。今後は指導記録を残して継続的指導を期待する。
 精密検査の実施率は、便潜血と眼底眼圧検査は50%未満となっている。精検の未受診者への確認作業は行われておらず、フォローアップマニュアルも作成されていない。今後はマニュアルの整備とともに、未受診者への積極的なフォローを期待する。また追跡調査については、受診2カ月後に受診勧奨を郵送しているが、実施率は低率で、保健指導時や待合室のタブレット端末を利用した受診勧奨など、実施率向上に向けて更なる取り組みを望む。
 健診結果の集計や分析は、施設内で発表し報告されている。ドック学会における学会発表も、専門コンサルタントを招聘して積極的に行われ、表彰実績もある。今後は医師による発表にも期待したい。

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