日本人間ドッグ学会

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総合評価・領域別評価

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総合評価

 独立行政法人地域医療機能推進機構・大和郡山病院健康管理センターは、昭和59年に奈良県大和郡山市に病院附属の健診センターとして開設された。併設病院がすでに日本医療機能評価機構の認定を取得しており、独立行政法人地域医療機能推進機構グループとして基本理念と基本方針が策定され、組織体制も整備されている。
 年間の受診者数は一日ドック約2,000人、二日ドック約230人(継続受診率79.0%)、その他施設内健診が約11,000人で巡回健診も実施している。本機能評価は今回が初めての受審である。
 毎週木曜日の午後開催の女性医師や女性技師によるレディースドック、毎日実施している乳がん・子宮がん検診、土曜日の特定健診・特定指導の開催など、受診者の利便性に配慮している。病院併設であるため健診スペースに制限があるが、問診や心電図、超音波検査に関しては個室で実施しており、血圧・視力測定及び採血はプライバシーが守られるよう、衝立などで間仕切りをするなど工夫がなされている。また、待合室や廊下の壁面には、職員が作成した健康に対する情報が掲示してあり、健康教育に役立っている。
 ドック受診当日の結果説明は、医師1名で全受診者に対応しているが、1人あたり平均説明時間がやや5分以内と短く、充分な時間が確保されているとはいえず、今後の取り組みに課題を残している。
 保健指導については、二日ドックの全受診者に対して保健・栄養・運動指導を実施している。問診時には保健師から血圧・肥満等についてパンフレットを使用し説明するなど工夫がみられる。
 受診後のフォローアップでは、精密検査・治療が必要な受診者には、病院併設の特徴を生かして、「パック外来」のシステムを構築している。更に要精検の検査実施率向上と、検査結果追跡の精度向上のための改善策を検討しており、実施後の成果に期待したい。
 今後は学会報告を含め、人間ドック健診の有用性の検討を深めるとともに、健診結果の分析と活用にさらなる充実を期待したい。
 総合的見地から、人間ドック健診施設機能評価の認定に値すると判断する。 

領域別評価

1.施設運営のための基本的体制

 理念や基本方針、受診者の権利は明文化され、センター入口への掲示やホームページへの掲載などにより受診者に周知している。就業規則などの運営規定類や事業計画は、併設病院で一元管理されている。なお、事業計画は年度数値目標に基づき立案し、実務者会議と運営会議で内容の検討している。
 組織体制については、病院との連携が密で、会議体系も病院全体で組織されており、センター職員がメンバーとして参加している。なお、センター運営会議は平成26年から月1回定期的に開催することになり、今後の継続的な開催が望まれる。センターの業務分担はマニュアルにて明確にしており、業務担当や業務チャート、現金収納、請求業務などは実態に即して定期的に見直し改訂されている。財務処理は病院の経理課と連動して適切に管理している。
 情報システムは病院と一体で管理されており、パスワードは年1回変更し、業種ごとに個人アクセスが設定されている。委託業務も同様で、病院全体で管理されているが、定期的に評価する仕組みがなく、今後の課題である。
 安全衛生管理は病院の衛生委員会により、職員の健康管理に取り組み、防災訓練も年2回実施され、さらにセンター独自の地震に対する訓練も実施されている。また、感染性医療廃棄物処理委員会の活動により廃棄物は適切に処理されている。
 企業健保との契約は現在、順次契約更改中である。地域住民への健康に関する情報提供として、保健師による健康相談を「まちの保健室」として月2回、地元の量販店で実施していることは評価できる。 

2.受診者の満足と安心

 利便性では、乳がん・子宮がん健診が毎日実施され、毎週木曜日午後には女性医師と女性技師によるレディースドックが実施されている。
 受付業務はマニュアルに基づき適切になされている。前回受診時のチェック内容や健康調査票、健診当日の問診、現在の治療状況、採血時の血管迷走神経反射の既往、アルコールかぶれ等の情報は適切に共有され、次年度の情報として記録される。
 待合は椅子が十分に確保されており、室温や湿度などの空調管理も適切である。清掃は行き届いており職員がチェックし、禁煙は徹底されている。
 プライバシーに関しては、問診と心電図・エコー検査は個室で対応されている。血圧・視力測定・採血などは衝立をしており、検体は人目につかないように配慮されている。検査結果の取り扱いについては、守秘義務の規定が定められている。
 内部精度管理に関しても、併設病院と一元的に管理されている。外部精度管理サーベイに継続して参加し、成績も良好である。検査機器のトラブル発生時は、併設病院の中央検査部と放射線部で一元的に対応されている。
 病院全体では毎年1回、満足度調査を実施し、分析と結果が報告されている。一方、投書箱はセンターの入り口の外に設置されているので、更衣室など受診者が投書しやすい設置場所を検討されたい。改善活動は「病院全体ボード」に掲示されており適切である。
 業務改善においては、毎日終礼時に当日と翌日の業務確認等の情報交換が行われている。また業務改善書ファイルに、取り組んだ記録が記載されている。
 セーフティーマネージメントでは、専任の統括者が配置され、マニュアルに基づき対応する体制が病院と一体で構築されている。センター内のインシデントについては、情報が共有化されており、適切に対策がとられている。一部の検査室にて救急ボックスなどの設置があればさらによい。
 感染管理では専任の認定感染管理者が配置され、マニュアルに基づき対応する体制が病院と一体で構築されている。併設病院ICTによる定期的なラウンドが実施され、センター内感染情報が共有化されており、対策が適切に行われている。インフルエンザ(無料)や必要な職員に対するB型肝炎ワチクンなど予防接種の実施も適切である。

3.人間ドック健診の質の確保

 スタッフ数は適切であり、人間ドック認定医や各専門医、人間ドックアドバイザー、さらに超音波認定技師、マンモグラフィー撮影技術認定技師、胃がん検診専門技師認定者等が配置されている。教育体制については、教育・研修計画を作成しており、各研修の実施記録や参加記録により進捗確認がなされ、不参加者に対してはチームリーダーから説明する仕組みがあり評価できる。
 基本検査項目は適切であり、任意検査の見直しも定期的に行われている。検査判定基準はドック学会の判定区分に準拠し実施している。心電図と眼底写真の判定・読影は専門医が行い、胸部X線と胃部X線、マンモグラフィーは二重読影を実施している。異常値がある受診者に対しては医師から連絡しており、その他の受診者へは1~2週間での郵送による報告となっている。胸部X線の精検指示率が低い点については読影医師と検討中であり、改善を期待する。
 健診当日の結果説明は、身体計測、血圧、血液、胸部X線を踏まえて、1人あたり5分程度で全受診者に対して実施しているが、今後さらなる説明時間の確保が必要である。
 保健師3名と管理栄養士2名により保健指導を実施しているが、特定保健指導も行っているため実施率が低い。なお、一日ドックでは問診時に血圧や腹囲などの結果により、パンフレットによる相談・指導を実施している。運動指導士がいないため、理学療法士が運動指導をするなど工夫がみられる。今後病院とスタッフのやりくりを検討し、更なる保健指導等の徹底を図られたい。
 受診後のフォローアップでは、要精密検査と要治療指示者に対して、予め受診科や検査項目等を定めた「パック外来」を実施している。しかし、精検把握率はやや低率であり、今後心電図や眼底、眼圧に対しても積極的に関与することが望まれる。精検未受診者には電話等による受診勧奨を行い、併設病院での精検受診者の電子カルテによる確認などの改善により、実施率が向上することを期待する。受診経過のフォローは今回の受審を機にシステム構築がされ、継続的な取り組みを期待する。
 健診の有用性については、学会等で発表を行っており、調査研究にも参加しており、今後さらなる取り組みを期待する。

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