日本人間ドッグ学会

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総合評価・領域別評価

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総合評価

 一般財団法人近畿健康管理センターKKCウエルネスひこね健診クリニックは、滋賀県の彦根駅に隣接した好立地にある健診専門の施設である。平成22年に開設されたため綺麗で清潔に保たれており、また職員の教育も行き届いている。
 年間の受診者数は、一日ドック約500人(継続受診率52.3%)、その他の健診が約8,500人である。本機能評価は今回が初めての受審である。
 基本的体制については、8つの健診施設を有する近畿健康管理センターの滋賀事業部であり、規程類は法人のものと合わせて十分に整備されている。特に中長期計画と年度事業計画は具体的に作成され、確実に実行されており良好である。各規定に基づく管理体制と、それに伴う委員会、ミーティングなども適切に実施されている。
 受診者の安心と満足については、レディースディを月に3日開催し、婦人科健診を日曜日にも定期的に実施するなど、受診者のニーズを取り入れて運用している。全受診者がタブレットを持って検査を回る方法を採用する等、新しい試みも積極的に導入している。施設内は清潔で緑が豊富に取り入れられ、受診環境はよく整備されている。更なる受診者増が見込める施設だが、受診者数が2倍、3倍になった時に対応できる仕組み作りに期待したい。
 健診の質に関しては、専門知識を有する医師が判定を行っている。健診当日に医師から検査結果の説明と指導が行われている。実施率が66.3%であり、全受診者が医師面接を受けてから帰宅するように、説明開始時間の見直しや受診者への働きかけ等、更なる積極的な取り組みを求める。
 受診後のフォローアップとして、平成25年から二次検査未受診者に対する受診勧奨の取り組みを開始している。把握率は低く、把握体制の整備に取り掛かった段階であるため、今後の運用の中で工夫や見直しを図り、体制の確立に努められたい。当日の結果説明や保健指導とも連携し、二次検査や生活改善の必要性について積極的に働きかけるなどの取り組みを望む。
 総合的な見地から、次回更新に向けて積極的な取り組みがなされることを期待して、人間ドック健診施設機能評価の認定に値すると判断する。 

領域別評価

1.施設運営のための基本的体制

 法人の経営理念と基本方針に沿って事業部の基本方針を策定しており、職員に対しては朝夕礼の唱和等で、受診者に対しては院内掲示等で周知を図っている。職業倫理に関する規定は就業規則に含まれており、委員会も設置されている。中長期計画と年度事業計画は、目標と数字目標、活動内容などが具体的に作成されており、職員各自がそれらを理解して健全経営に取り組む姿勢は評価できる。
 組織体制については、滋賀事業部において委員会と会議を適宜開催している。料金収受や会計処理は規定に基づき適切に処理されている。
 情報システムは規定に沿って管理され、アクセス制限や個人情報の管理が行われている。委託業務は管理カードにて日常管理されており、基準に沿って業者の選定が行われている。薬剤や診療材料の在庫は管理簿で管理され、棚卸しは年2回実施されている。
 安全衛生管理については、管理規定を設け、安全衛生委員会を開催している。職員の健康管理として健康診断に加え、職場体操や保健指導なども実施しており、防火訓練や感染性廃棄物の処理も適切である。
 企業、健保組合との契約書は定期的に見直されている。地域への広報活動として、広報誌の発行や健康セミナーなど地域に根ざした活動も実施している。
 

2.受診者の満足と安心

 受付は2列で行い、受付時の質問にはQ&A集にまとめたマニュアルに沿って対応している。健診開始前には、検査内容や注意点を確認している。検査はスタッフがマニュアルに沿って柔軟に案内している。受診者全員がタブレットを持って受診しており、問診の入力にも利用されている。画面の案内はわかりやすく、またフロアにはスタッフが十分に配置されているため、年配者等馴染みのない受診者にも配慮されていると判断する。受診者の既往歴等が問診で確認され、採血や胃部検査などでは受診者の体調に応じて、検査体位の工夫(臥床検査)をしている。
 受診環境は快適に保たれ、BGMや雑誌、健康情報の提供等が行われている。
 プライバシーへの配慮については、呼び出しは番号であり、希望者には名前でも対応している。検査測定値は受診者と目視にて確認を行い、完全個室ではない検査については衝立等で仕切る等の配慮をしている。
 検体検査は外部委託であり、精度管理が適切に行われていることを施設で確認している。検査機器の管理は法人共通の手順書をもとに実施され、規定に基づき定期点検が行われている。機器のトラブル時の対応も明確にされている。
 業務改善の取り組みについては、受診者アンケートにて要望を週単位・日単位で集計し、クリニック運営会議等で報告している。
 セーフティーマネジメント体制については、管理規定が作成され、事故やインシデントは都度報告されている。受診者の急変時対応手順書が作成されている。感染性廃棄物の処理については、責任管理者を中心に、マニュアル及び手順書に沿って管理している。スタッフのインフルエンザの予防接種やB型肝炎ワクチン接種も実施されている。

3.人間ドック健診の質の確保

 医師をはじめ、看護師、検査技師、放射線技師、更に事務職員など適正な体制で健診が実施されている。所長が人間ドック認定医を取得し、近畿健康管理センター所属の人間ドック健診専門医が読影や指導等で関与している。保健師や管理栄養士は非常勤で関与は少なく、さらなる積極的な配置を期待したい。スタッフの教育体制は年間教育スケジュールに沿って計画・実施されており、教育効果も随所に見受けられる。
 人間ドック学会の基本検査項目を満たし、オプション検査項目は法人本部にて見直しを行っている。判定区分は施設内で標準化が図られ、専門的知識を有する医師が判定を行っている。精密検査の指示率がやや高い検査があるが、読影医師ごとの指示率の情報をフィードバックするなどして継続的に改善を図っており、継続的に取り組まれたい。
 健診結果は施設外の法人本部のサーバーで保管され、健診結果表にも経年的に提示されている。健診当日の結果説明は、検体検査や腹部超音波、胸部X線等について説明されている。実施率が66.3%であり、実施率の向上に努められたい。結果説明後、一部の受診者には看護師より保健指導が行われ、指導内容はドック保健指導用カルテに記録されている。今後、保健師や管理栄養士、また専門運動員が関与し、より多くの受診者に指導できる体制づくりを望む。
 フォローアップ体制については、要精検指示者に紹介状を発行しており、また平成25年から、精検未受審者には健診3ヶ月後に文書を送付して受診勧奨を行っている。しかし、いずれも返信は少なく経過把握は不十分であるため、課題として継続的な取り組みを求める。生活習慣病の追跡検査指示者に対しても、精検同様に3ヵ月後の受診勧奨を行っているが、返信率は低い。自施設での二次検査は実施していないので、地域の医療機関との連携を強化されたい。また、把握した結果を次回健診等に活用する仕組みも更なる充実に期待する。
 健診の有用性の検討に関しては、健診結果の分析を事業年報で公表している。今後、人間ドック学会での演題や論文発表にも取り組まれることを望む。

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