日本人間ドッグ学会

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総合評価・領域別評価

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総合評価

 JA北海道厚生連・旭川厚生病院健診センターは、北海道北部の医療を担う総合病院に併設された健診施設である。同院は、日本農村医学会の設立や農協・自治体との連携に大きく貢献しており、昭和32年に短期人間ドックを、昭和47年に日帰り人間ドックを開始している。現在の健診センターは昭和63年に改装され、運営されている。遠方からの受診者も多いため、健診当日に結果報告まで完結できるような体制が整備されており、結果説明や保健指導、精検受診率は高く、評価できる。
 年間の受診者数は、一日ドック約8,100人(継続受診率84.7%)で、その他の健診が約4,300人である。本機能評価は平成25年に初回認定を受け、今回が2回目の更新審査である。
 施設運営のための基本的体制は、理念や基本方針、規程類がJA北海道厚生連(本部)を通じて整備され、組織体制は確立されている。在庫管理や業務委託の選定は適切であるが、委託業者の評価体系の改善を検討されたい。また、ホームページなどの対外的広報についてもさらなる配慮が必要である。職員の安全衛生面に配慮が見られ、企業や健保組合との契約も適切である。
 受診者の満足と安心にも配慮されており、女性と男性の受診日を分けて運営している。また、保健師が13人体制で健診にあたり、安全管理のための受診者情報管理も確立している。受診者のプライバシーへの配慮や検査の管理体制も確立されている。業務改善にも取り組んでおり、前回の機能評価受審時の指摘事項について改善がなされている事は、評価できる。
 健診の質の面では、スタッフ体制は整っており、併設病院の専門医が適切に関与している。保健師が十分に確保され、病院の医療職も有効に活用されている。健診当日の医師による結果説明とその後の保健看護職による保健指導は、ほぼ全員の受診者に対して実施されており高く評価できる。受診後のフォローアップ体制も確立しており、健診の精度や有用性についても、北海道全域の施設がまとまって検討が行われている。
 総合的な見地から、人間ドック健診施設機能評価の認定(更新)に値すると判断する。 

領域別評価

1.施設運営のための基本的体制

 理念と基本方針は、併設病院とは別に健診センター独自で策定され、見直しも行われており、受診者や職員に周知されている。個人情報、職業倫理などの規定類は、JA北海道厚生連および併設病院を通じて整備されている。受診者の権利と責任はセンター内受付に掲示され、対応窓口も設置されている。
 中期計画や事業計画等は本部で纏められ、実行と推進の詳細は病院全体で策定されている。毎月、進捗等をセンター単独で数値化し、計画の確認や修正を行っており、積極的な取り組みである。今後、地域性や施設の独自性が運営に反映されることを期待する。
 健診センターの組織図が作成され、指揮命令系統や責任者は明確である。病院の運営委員会等に参加し、健診部門ではミーティングを開催している。今後、健診管理会議を組織することも期待したい。窓口での収納業務や会計処理は、担当者を定め、病院内の金融機関で収納されており、チェック機能や内部牽制、会計報告も適切に行われている。
 情報管理体制については、健診システムと電子カルテが連動しており、アクセス制限も適切である。健診システムは本部サーバーとネットワーク化されている。
 委託業者の選定は本部や病院で行われている。今後、業務委託の定期的な評価のしくみを検討されたい。薬剤や診療材料は病院の薬剤部およびSPDで発注や適正在庫の確認が行われている。
 安全衛生管理については、病院の労働委員会に健診部門から4名の委員を選任しており、評価に値する。定期的に職員の健康診断が実施され、病院の防災訓練に参加している。感染性廃棄物や個人情報書類の廃棄は、業者に委託し、処理確認が行われている。
 企業や健保組合との契約は適切である。病院と健診センターとで、地域住民向けの健康講座や、広報誌「ふらのの大地」での健康に関する情報発信など、積極的に取り組んでいる。さらに、地域自治体の健康管理担当者会議に参画するなどの連携も図られており、評価に値する。

2.受診者の満足と安心

 10月のピンクリボンデーは病院全体で対応しており、1年を通じて広報を行っている。男性受診日と女性受診日を分けており、女性受診日には、病院の女性職員も対応にあたるローテーションを設定している。受診者にも好評との事で、安心して受診できる体制づくりは評価できる。
 受付はマニュアルに沿って行われ、検査前の説明は保健師が受診者全員に待合ホールで行っている。診察や検査の担当者は各部屋に表示されている。受診者の健康情報は、前日にスタッフ間で共有し、アレルギー歴やペースメーカー等、注意が必要な受診者に関しては特に申し送りを行い、当日にも再度確認を行っている。保健師を中心にシステム上でも管理しており、安全な検査を行うための仕組みが確立している。
 プライバシーに関しては、名前での呼び出しを希望しない受診者には、番号で対応している。検査室は個別に仕切られているが、指導室はパーティションのみであり、声漏れへの配慮を望む。
 検体検査は病院で実施されており、内部・外部精度管理は適切である。検査機器の管理も適切で、トラブル発生時の対応マニュアルが作成されている。
 受診者の意見の反映については、アンケート調査が毎日全受診者に対して行われ、結果は病院全体のサービス改善委員会で検討されている。土曜日ドックの実施や上部消化管内視鏡検査の受け入れ枠の増設などの改善例もあり、評価できる。
 セーフティーマネージメントと感染対策体制は確立しており、インシデントアクシデントレポートは病院の安全管理委員会で検討されている。感染対策のマニュアルが作成され、職員への感染防止対策も実施されている。

3.人間ドック健診の質の確保

 職員体制については、センター長が人間ドック認定医を取得し、読影と判定には病院の各種専門医が関与している。医療職では専任の保健師や看護師の他、病院の管理栄養士や技師が携わっており、必要な専門資格も取得している。
 職員教育体制は確立しており、病院全体と健診センター独自で、年間計画に基づいた研修が実施されている。院内外の研修参加状況が管理され、不参加者へのフォローもDVDでなされている。医師に対してはセンター独自で症例検討会やカンファレンスを実施し、他の医療職の研修も同様に実施されており、積極的に取り組んでいる。外部の学会や研修会への参加規程があり、適切に運用されている。
 検査項目は適切で、健診当日に全受診者の画像を専門医が二重読影して、判定を行っている。健診当日の医師による結果説明では、全受診者に対して画像結果を含むほぼすべての項目について説明しており、その後、医師の指示に基づいて保健師が保健指導を行い、結果票を直接手渡ししている。結果表の一部データは経年変化がグラフ化され、視覚に訴える工夫がなされている。健診当日の判定から指導までの体制は優れており、高く評価したい。また、昼食後の時間を利用して栄養指導や運動指導も実施されている。
 精密検査や治療が必要な受診者へのフォローアップについては、精密検査指示率、実施率ともに適切である。健診当日に併設病院の予約が可能であり、要治療の場合には当日の受診にも対応している。また、市内に限らず道内の医療機関との連携が積極的になされ、適切な紹介が行われている。がん健診の精度管理は北海道全体の厚生連医療施設で行われており、充実した体制である。乳がん健診がマンモグラフィのみであるが、マンモグラフィ検査でカテゴリー3以上の受診者に対しては全例乳腺外来の担当医師が関与しており、問題はないと判断する。
 追跡検査が必要な受診者へのフォローアップも適切に実施されており、継続的な取り組みを期待したい。
 健診の有用性の検討については、北海道農村学会を中心に、調査や発表等が行われている。今後、人間ドック学会で日ごろの成果が発表されることを期待する。

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