日本人間ドッグ学会

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総合評価・領域別評価

鹿児島厚生連病院 健康管理センター

総合評価

 鹿児島県厚生農協連 健康管理センターは、昭和54年より現在の建物にて本格的に施設健診に取り組まれ、前身の共済連が行っていた巡回健診も引継ぎ、離島も含めた県下全域の公衆衛生と健康増進を図っている。また、脳検査や心不全リスク検査など多様なオプション検査も併用し、予防から治療に至る一貫体制を充実すべく努力されている。
 本機能評価は、平成23年に初回認定を受け、今回が初めての更新審査である。
 年間の受診者数は、一日ドックが約12,000人(継続受診率79.2%)であり、生活習慣病などのドック以外の健診は約11,000人、巡回健診は約54,000人である。総受診者数は、平成24年には人間ドックで30万人を超え、平成26年には巡回健診で100万人を達成している。
 施設の理念と基本方針は明文化され、中期計画や年次事業計画を目標に健全経営に努力されている。組織は厚生連の一つの機関として位置付けされており、運営調整会議にて検討されている。安全衛生面や防災への対策も検討され、桜島の噴火対策も講じられている。健保組合等との契約は適切であり、健康教室を開催するなど情報提供の取り組みは評価できる。今後、健診実績などを含めた情報発信は、更なる工夫を望みたい。
 レディースデーの設置など受診の利便性に配慮している。受付や検査開始時の説明も良好で、案内係が状況に応じて誘導している。和室の休憩室やマッサージ機などゆったりと過ごせる施設環境で、食事場所からは桜島が一望できる。検査や診察時のプライバシーは確保されているが、一部、声漏れなどに配慮されたい。
 医師や看護師などのスタッフ体制は実態に即しており、今後は専門性を活かした健康指導に活用されたい。職員の教育体制はおおむね良好である。画像検査の読影は、今回の受審を機にダブルチェック体制が整備されており、継続的な運用を望む。結果報告書も分かり易い内容へと改善されている。
 健診当日の結果説明は全受診者に実施され評価できる。後日のフォローアップについては、精密検査や治療が必要な場合の対応は適切であるが、生活習慣病の追跡調査はほとんど実施されていないので、保健指導と共に体制を構築する必要がある。
 総合的な見地から、人間ドック健診施設機能評価の認定(更新)に値すると判断する。 

領域別評価

1.施設運営のための基本的体制

 理念と基本方針は、内容も分かり易く、院内やホームページに掲載されている。運営に必要な規程類は整備され、個人情報保護規程や就業規則などで職業倫理の遵守事項を定め、相談窓口を設けて違反事例等に対応する仕組みがある。受診者の権利は、より具体的に明示すると分かり易い。3ヶ年の中期計画をもとに年次事業計画や予算書を作成し、業務報告や実績把握による検討も行われている。
 組織体制は、センターの組織図が作成されているが、責任者などの主要メンバーや作成日の明記があると分かり易い。運営に関しては運営調整会議で検討し、精度管理や倫理関係などは厚生連病院との合同委員会で対応されている。
 健診料金の収納は受付が担当し、業務確認も行われている。決算処理は法人本部が対応し、センターでも収益や経費等を把握し、事業統括会議等で内容を検討している。
 情報システムについては、施設内のコンピュータ端末はパスワード管理でアクセス制限を行い、機器のトラブル発生時の体制も整備している。委託業務管理は、業務内容を評価する仕組みが確立している。薬剤および診療材料の管理は、一部SPDシステムを採用しており、棚卸しを毎月行い、発注と検収の流れも明確である。
 安全衛生管理については、労働安全衛生委員会の活動は適切で、職場巡視も定期的に行われている。職員健診や労災状況が管理され、火災・防災対策が講じられ良好である。感染性廃棄物の処理もおおむね良好であるが、バイオハザードマークの表示の徹底を望みたい。
 市町村や健保組合との契約は健康増進課が担当し、契約の見直しも行われている。施設内で「だんだんスリム教室」などの健康教室を開催し、健康推進の姿勢は評価できる。今後、契約先や地域住民に対して、人間ドックの実績や健康情報も含めた更なる積極的な情報発信を期待する。

2.受診者の満足と安心

 利便性への配慮として、受診希望の多い婦人科や内視鏡検査は実施日の増設や医師の増員を行い、昨年4月からはレディースデーを設定しており、また、受付は時間差を設けて混雑解消を図るなど、良好な取り組みが確認できる。
 各検査は、案内係が状況に応じて誘導しており、診察や検査の担当者は明示されている。検査担当者は受診者の既往歴等の情報を把握しており、次年度も参照できるよう記録している。空調などの管理は適切で、観葉植物が配置され、快適な環境に配慮されている。待ち時間には健康に関する雑誌や掲示物などが利用でき、食事の後には保健師や管理栄養士による健康講話が実施されている。
 プライバシーに関しては、名前での呼び出しを希望しない受診者への対応が定められている。診察室や指導室などは個室化されているが、超音波検査室の入口はカーテンのため、声が漏れないように配慮が望まれる。検査結果の取り扱いに関する規程は明文化されている。
 検体検査は自施設で行い、異常値やパニック値の取り扱いも良好である。精度管理も評価でき、脂質項目は国際認証を取得している。生理機能検査や超音波検査などの機器の管理体制も確立している。
 受診者の声を把握するために、年1回2週間のアンケートと、レディースデーのアンケートが実施されている。投書箱は2か所設置されているが、利用件数は少なく、無記名投書のしくみなど更なる活用法も検討されたい。組織的に業務改善に取り組む体制と実績があるが、前回の機能評価受審時の指摘事項である生活習慣病のフォローアップは、今後も継続して取り組む必要がある。
 セーフティーマネージメントについては、医療安全管理委員会を開催し、インシデント・アクシデント情報を収集、分析して再発防止策を講じている。急変時の対応体制は確立しており、救急カートやAEDが設置され、BLS研修も行われている。感染対策は、マニュアルが作成され、内視鏡の消毒やリキャップ禁止等の対応が図られ、標準予防策や予防接種など職員への感染防止策がとられている。

3.人間ドック健診の質の確保

 医師は常勤医3名を中心に、各専門医が在籍して実態に応じた体制であり、人間ドック認定医も診察等で関与している。同様に、保健師や看護師、管理栄養士などの医療職と事務職員も業務に支障ない体制である。
 教育体制は、年間計画に基づいて、法人本部・病院との合同研修やセンター独自の研修が行われているが、実施記録の充実を望む。外部の学会発表や研修会参加にも各部署で計画に基づいて取り組んでいる。専門性向上のための研修も実施されており、研修報告等で実態の把握と活用がなされると更に評価できる。
 検査項目は人間ドック学会の項目に準拠しており、オプション検査の内容も定期的に検討されている。画像の読影は診察医や放射線科医等のダブルチェック体制で行われ、上部消化管X線検査は本年度よりダブルチェック体制が整備されたため、今後の適切な運用を求める。眼底写真は眼科医がすべて読影しており評価できる。結果通知書は昨年から冊子化され、全ての検査結果を一括に報告する仕組みへと改善された。検査内容も詳細に説明されている。
 健診当日の医師による結果説明は、ほぼ全受診者に画像結果も含めて行われ評価できる。保健指導は医師が必要に応じて行っているが、専門職による保健指導の実績は十分ではない。人間ドックアドバイザーが複数いるが活用には至っておらず、また運動指導も健康運動指導士の資格を十分に活用できていないので、今後の課題である。
 受診後の対応については、健診結果の相談や質問に丁寧に対応し、結果通知書にも問い合わせ先を明記している。精密検査や治療が必要な場合は、紹介状を発行し受診勧奨を行っている。更に2ヶ月後と5ヶ月後に経過確認を行い、その努力の結果、精検受診率は概ね80%以上と高く、評価できる。上部消化管X線の精検指示率がやや高いことは検討を望む。また、生活習慣病の追跡検査の体制は検討の余地があり、今後の積極的な取り組みを期待する。関連の生活習慣病センターや厚生連病院を中心に、各医療機関との連携は良好である。
 健診の有用性やエビデンスなどの分析を行い、活動報告書にも一部掲載している。人間ドック学会の全国集計調査に参加し、関連学会などでの演題発表や論文投稿も積極的に行われ、活動実態は高く評価したい。

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