日本人間ドッグ学会

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総合評価・領域別評価

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総合評価

 東京慈恵医会医科大学付属病院 新橋健診センターは昭和23年に同病院の労働衛生管理相談所を前身として誕生した伝統ある施設であり、以来70年近くにわたり広く社会への貢献に努めている。
 年間の健診実績は人間ドック約7,700人(継続受診率74.5%)、その他の健診が 約2,500人と小規模ながらも安定した実績を重ねており、施設のクオリティーを維持するための改善活動や学会発表、勉強会への参加も施設全体で積極的に取り組まれている。
 施設内は清潔に維持されており、待合のテーブルには検査の流れ(日本語・英語の小冊子)や健康関連のパンフレット、また、独自で発行している季刊誌『健康の医学ニュース』、乳房触診(乳がん)模型なども置かれている。胃部レントゲン室の前ではバリウムの誤嚥防止に関する3分ビデオを流すなど、受診者への安全配慮もなされている。
 各検査室は個室化されているが、採血カウンターには隣との仕切りがないため、
パーティションを置くなど最小限のプライバシー確保に努めたい。
 当日の医師による結果説明は、画像のダブルチェック後に実施しているため、開始が午後になる。そのため実施率は44.4%と低いので、実施率の向上のために工夫を図られたい。また、追跡検査が必要な受診者へのフォローについても、さらなる努力が望まれる。 
 3年後には移転と施設規模の拡張も予定しており、今後ますますの受診者増と施設発展に期待したい。
 総合的見地から、人間ドック健診施設機能評価の認定(更新)に値すると判断する。
 
 

領域別評価

1.施設運営のための基本的体制

 施設運営の基本体制は確立されており、理念および基本方針・受診者の権利が定められおり、施設内掲示やホームページ・パンフレットへ掲載され、職員への周知がなされている。職業倫理に関しては就業規則と倫理規定、個人情報の取り扱いマニュアルなどが整備されており、職員のハラスメント相談窓口、公益通報制度も整えている。事業計画については、年度ごとの事業計画や予算書、中長期計画を作成しており、職員全体への周知と事業報告・決算報告の評価がなされている。
 組織体制は確立されており、付属病院も含めた会議体系が明確に機能している。施設全体の質改善や懸案事項については、毎月開催の運営会議で検討されている他、大学や付属病院の各種委員会にも参加して、より良い環境作りに取り組んでいる。
 財務処理については、収納業務と会計処理の担当者が定められており、事務長によるチェックや経理課への報告も適切に行われている。
 情報システムの管理体制は、データを取り扱う担当者が定められ、トラブル対応マニュアルも整備されている。また、パスワードやアクセス制限の設定も適切に行われており、データの保管場所の安全が確保されている。委託業務に関しては、物品や内容別に担当部署が決められており、定期的に業者の評価や見直しも行われている。薬剤や診療材料の管理は、附属病院の薬剤部や委託業者によって適切なチェックと在庫管理が行われている。
 施設の安全管理体制では、職員健診や防災・救命訓練を定期的に実施しており、附属病院も含めて安全に関するマネジメント体制が整備されている。感染性及び産業廃棄物や個人情報関連書類の廃棄も適切である。
 企業健保や地域との関係では、「健康医学セミナー」や「市民公開講座」などの開催を通じて良好な関係を築き上げている。

2.受診者の満足と安心

 利便性では月曜と金曜、及び隔週の土曜日に限定されるが、婦人科健診と乳腺健診は、女性医師と女性技師が担当している。また、わかりやすい受診案内書や健康調査票が事前に送付されている。受付時間は20分刻みに設定しており、受付手順や受付時の質問への対応手順が整備されている。検査開始前に保健師により個別面接が実施されており、検査の内容や注意点の説明などが行われている。検査の進行に関するマニュアルが作成されており、検査の進行状況に応じて柔軟な対応がなされている。受診者の既往歴や治療歴、アレルギー歴などは適切に把握、共有されており、受診者が安心して健診が受けられる体制が整えられている。また、快適な施設環境もおおむね整えられている。
 プライバシーへの配慮については、呼び出しは当日の受診番号で行っている。診察室や検査室は個室化されているが、採血カウンターは配置の工夫やパーティションなどの設置を検討されたい。検体は人目につかないように配慮されている。検査結果等に対する守秘義務の規定も作成されており、問い合わせへの対応手順も整備され、プライバシーに配慮されている。
 検体検査は業務マニュアルに沿って実施されており、内部・外部精度管理も適切に行われている。生理機能検査や超音波検査、放射線検査は業務マニュアルに沿って適切に行われている。
 業務改善については、投書箱の設置やアンケート調査により受診者の要望や意見の把握に努めており、運営委員会などで検討して改善に役立てている。前回の指摘事項では、改善されたものもあるが、フォローアップ体制の整備については、さらなる工夫や努力が望まれる。
 セーフティマネージメントについては、マニュアルが作成されており、インシデント・アクシデントレポートの検討が行われ、再発防止に取り組んでいる。受診者の急変時への対応手順は明確になっており、緊急時の対応訓練や全職員のBSLなどの受講も適切に行われている。感染対策については、病院と一体でマニュアルが整備されており、体制も確立している。

3.人間ドック健診の質の確保

 医師の体制は専任の人間ドック認定医2名と専門医1名をはじめ、各種専門医も取得しているが、現状は非常勤医師も多いため、今後は医師のマンパワー充実も図られたい。 
 スタッフに対する教育体制が確立されており、学会発表や附属病院で定期的に開催される各種研修会や講習会の参加をはじめ、各部署単位から健診センター全体での勉強会も積極的に行われている。
 検査項目は日本人間ドック学会の基本検査項目やオプション項目が適切に実施されており、検査結果は日本人間ドック学会の判定区分に準拠して適切に判定されている。要精検指示率も適正である。画像は放射線科医により読影され、ダブルチェックされており、胸部・胃部X線はトリプルチェックされている。心電図と眼底検査は診察医が判定し、異常と思われる所見は循環器医と眼科医の判定を仰いでいる。
 過去の健診結果は適切に管理されており、結果説明時には過去の結果が迅速に参照可能となっている。画像のダブルチェック後に結果説明を行っているため、結果説明率は44.4%と低い。保健師等による各種指導が行われているが、実施数が少ないので、健康指導の充実が望まれる。
 健診結果に関する質問や相談には適切に対応しており、改善に役立てている。精密検査や治療が必要な受診者に対するフォローアップでは、結果報告書に紹介状を同封して返信してもらう仕組みであるが、3か月経過しても返信がない場合には、書状による受診勧奨を行う体制を整備したところであり、今後に期待したい。 
 精密検査の指示率は適正であるが、実施率の把握は十分とは言い難く、さらなる努力が望まれる。追跡検査が必要な受診者のフォローについては、新しい仕組みを早急に整備されたい。さらに、附属病院以外の医療機関との連携についても検討が望まれる。
 健診の精度や有用性の検討については、学会発表や論文投稿に積極的に取り組んでいることは高く評価できる。

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