日本人間ドッグ学会

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総合評価・領域別評価

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総合評価

 公立昭和病院予防健診センターは、東京都北多摩地区8市の医療を担う、同病院内に併設された健診専用施設である。主たる組織は、地方企業法の規定による昭和病院企業団が運営している。
 年間の受診者数は、一日ドックが約3,000人、その他の健診が約1,700人である。本機能評価は平成24年に初回認定を受け、今回が2回目の更新審査である。
 運営のための基本体制の面では、健診センター独自の理念と基本方針が明文化され、各種マニュアルは昭和病院企業団の規定に準拠して作成され、電子カルテ上で共有化されている。スタッフ数は病院と連携しながら適正に確保されている。組織や会議、委員会、財務処理、情報システムは病院の一部として運用されているものと、センター独自で運用されているものがあり、いずれも適切である。
 受診者の満足と安心の面では、施設内は受診者満足を得るためデザイナーによる専用ラウンジが設置され、快適な環境と受診者動線を提供している。内視鏡検査を含め基本的な検査はセンター内で完遂することができる。女性受診者への配慮として、女性特有の検査が毎日行われており、フロアも区別され安心して受診でき、医師も含めすべて女性スタッフで対応している。受診者の意見を把握するために毎月アンケートを行い、改善策を実施していることは評価できる。
 健診の質の確保に関しては、健診業務全体で取り組んでおり、健診当日に精密検査の実施や専門外来予約を行っている。ただし、上部消化管X線の精検指示率が高いので、今後の精度管理が望まれる。検査項目は定期的に検討され、CTC検診の導入など機能充実を図っている。健診当日に、医師による検査結果の説明が全受診者に対して実施され、近隣の開業医や医療機関との連携を行いフォローアップに取り組んでいる。前回の機能評価受審時の課題であった保健指導は、保健師および管理栄養士が関与し、さらに運動指導士による運動指導も積極的に実施されており評価できる。また、健診の有用性の検討と院外での発表、スタッフの配置など質の改善に積極的に取り組んだことが確認できた。予防医療の充実に向けて益々の発展が期待できる施設である。
 総合的な見地から、人間ドック健診施設機能評価の認定に値すると判断する。 

領域別評価

1.施設運営のための基本的体制

 健診センター独自の理念や基本方針、就業規則などの運営規程類は定められており、職業倫理規定に反したときの申請書や審議結果の報告書も適切に整備されている。受診者の権利の具体的方策として、健診結果の問い合わせや個人情報に関する文書を成績表に同封している。
 中長期計画は昭和病院企業団規定に基づいて作成され、年度事業計画や予算書、年度事業報告等も適正に作成されている。職員に周知し、ホームページにも掲載されている。
 組織体制は職務分担表等の文書で確認でき、各会議メンバーは組織名簿で明確にされている。受付での料金収受は病院の会計窓口で清算され、料金はセンターの収入となるため、委託を受けた銀行が毎日現金を回収しており適切である。
 情報システムはマニュアルに基づき適切に管理され、マニュアルの内容は施設内LANで見る事ができる。ID・パスワードの設定や、トラブル発生時の対応がなされている。委託業務管理については、業者は選定要領に基づき指名競争入札により選定している。契約後における委託業者の年度評価の仕組みがより整備されることを期待する。薬剤や診療材料の在庫管理は、台帳で適切に管理されており、発注及び検収はダブルチェック体制である。
 安全衛生管理については、安全衛生推進者が選任され、病院の委員会に健診部門の代表者が参加している。消防計画や消防設備の点検、年2回の消防訓練、また職員の健康診断も適切に実施されている。産業廃棄物の管理はマニフェストで確認でき、保管場所は病院で間仕切りと施錠がなされ、適正に処理されている。
 受診者のほとんどが市民であり、組合健保や企業との契約は少ないが、毎年契約を見直し、更新されている。健康づくり教室などの市民公開講座を市と共催で定期的に開催しており、その仕組みは評価できる。

2.受診者の満足と安心

 受診の利便性については、月曜から金曜日に人間ドックを受け入れており、乳がん検診の検査日はやや制限があるが、予約の時点で受診日を誘導して問題なく運用されている。今後の受け入れ枠の拡大に期待したい。婦人科系の検査はフロア奥の女性専用コーナーで、女性技師が対応しており、女性受診者に配慮がなされている。
 受付時間は、待ち時間が少なくなるように、検査内容によって調整されている。安全な検査のため、健診開始時に検査の説明や問診票に基づいた確認が行われ、既往歴等の受診者情報は事前に把握されている。
 受診環境については、空調管理は適温設定と実測がなされており、ガウンの貸出もある。CTや脳ドックなどの一部オプション検査は病院と共有であるが、内視鏡検査を含めドックの基本項目は全てセンター内で完遂できる。待ち時間には健康に関するDVDを放映し、健康への意識向上に努めている。
 プライバシーに関しては、呼び出しは番号による対応であり、検査室もすべて個室化されている。
 各種検査の精度管理については、病院に合わせて定期的に内部精度管理と外部精度管理を実施しており、一定のレベルが保たれている。検査機器は、始業点検と終業点検を実施し、担当者に周知している。
 業務改善の体制については、受診者の意見を取り入れる仕組みとして毎月第2週にアンケートを行い、結果は「ドックをよくする会」で検討して、改善策に取り組んでおり評価したい。前回の機能評価受審時の指摘事項であった保健師や管理栄養士による栄養相談、および健康運動指導士による運動指導に取り組んでおり、その満足度はアンケートからも読み取れる。
 医療安全に対する管理体制については、十分構築され、感染対策も確立している。受診者の急変時には、病院と共通の緊急対応ルールを利用している。また職員の感染防止では、インフルエンザワクチンの接種率が96%である。

3.人間ドック健診の質の確保

 職員配置については、常勤医2名に、併設病院の専門医のバックアップ体制があり、質の高い読影体制が整っている。常勤を中心とした看護師と、病院兼務の臨床検査技師、診療放射線技師、管理栄養士により業務が行われている。管理栄養士が運動指導士の資格を有しており、運動面でも指導できることは有効で、今後も積極的な関与を期待する。保健師は非常勤だが、毎日指導に関与している。
 職員教育については、病院で研修を実施しているが、センター独自の研修会も検討を望みたい。医師や医療職は資格更新に必要な講習会等に参加している。
 検査項目は、オプション項目も含めて人間ドック学会の提示項目に沿って実施している。任意検査項目や料金は、センターの運営委員会にて検討している。結果の判定については、画像診断は医師によるダブルチェックで、心電図と眼底写真は専門医が判定しており、判定基準は人間ドック学会に準拠している。検査データは電子カルテシステムで管理され、過去の結果が容易に参照できる。
 健診当日の医師による結果説明は全員に実施している。過去の検査結果と共に、画像検査も含めた多数の項目を説明しており、高く評価できる。
 その後の保健指導については、看護師が中心となり実施され、平成28年度からは保健師も関与して毎日行われている。健康運動指導士の資格を持つ管理栄養士が、栄養・運動指導にも積極的に取り組んでおり、良好である。
 受診後のフォローアップについては、精密検査が必要な場合には健診当日に併設病院の予約が可能であり、さらに緊急対応が必要な場合には当日の受診が可能で、病院併設型の強みである。上部消化管X線の精検指示率が高かったため、精査基準の検討など改善が図られている。精検実施率はおおむね70%以上と良好であるが、眼底・眼圧検査においては低いため、改善に努めている。
 追跡検査の指示者にはフォロー外来の受診を勧めており、3ヶ月後に経過確認を行っている。今回の受審を機に高血圧の追跡検査を開始し、少しずつ改善傾向にあるため、今後の実績の増加を期待する。併設病院が地域支援病院であることから、二次検査は本院に限らず、疾患によって地域の医療機関やかかりつけ医に紹介し、地域の医療機関とも連携を深めている。
 健診の有用性の検討については、施設内で検討・分析して、年に一度報告書を作成して職員に配布している。また人間ドック学会の調査に毎年参加し、医師や看護師を中心に学会発表を定期的に行っている。

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