日本人間ドッグ学会

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総合評価・領域別評価

成田赤十字病院

総合評価

 成田赤十字病院健康管理センターは、病床数719床の総合病院に併設された健診施設である。病院は昭和23年に設立、健康管理センターは平成4年に開設されている。本機能評価は平成19年に初回認定を受け、今回が2回目の更新である。
 年間の受診者数は、一日ドックが約3,400人、二日ドックが約920人(継続受診率75.1%)、その他の健診が約4,500人である。
 1日あたりの受診者数が20人前後の施設規模に対して、運営のための基本的体制は確立されている。情報や委託業務、医療材料等の管理も適切で、防災対策や廃棄物の処理等の安全衛生管理も適正に実施されている。今後は、企業や健保組合に対して検査データ等のフィードバックがなされるよう検討されたい。
 受診者の満足や安心を確保するための体制は概ね適切である。リラックスできる受診環境に配慮し、花や絵画、雑誌等が配置されている。業務改善の仕組みとして、アンケートを受診者全員に実施して業務に反映させるなど、運営委員会で継続的に取り組んでおり評価できる。一方、プライバシーの面では、前回の本評価受審時の課題でもあるが、問診室等がカーテンの仕切りで声が漏れる恐れがある。施設の設備上の制約もあるが、さらなる配慮を期待する。
 健診の質の確保が図られており、医師の体制は、人間ドック健診専門医が従事し、併設病院の専門医が結果判定に関与している。健診当日の医師による結果説明は全受診者に実施されており、看護師による保健指導の仕組みもあり良好である。受診後のフォローアップについては、受診勧奨が3ヶ月後に1回行われているが、精密検査の実施率のさらなる向上に向けて、取り組み方法の工夫を望みたい。追跡検査が必要な受診者に対するフォローアップは十分とは言えず、指示・実施数ともに少ないため、体制を再検討し、実績を積み、その結果を受診者の健康管理や健診精度の検討などに活用されることを強く望む。
 総合的な見地から、人間ドック健診施設機能評価の認定(更新)に値すると判断する。 

領域別評価

1.施設運営のための基本的体制

 理念と基本方針はセンター独自に作成され、運営規定類は本院や法人で整備されている。倫理委員会が設置され、職員の相談窓口として「こころの相談室」があり、メールアドレスが明示されている。受診者の権利は基本方針に明記されている。
 中長期計画と年次計画等は作成され、職員に配布あるいはイントラネットにより周知されている。
 組織体制は整備され、病院やセンターの組織図、会議・委員会組織図が作成されている。健診センター運営委員会や、受診者情報等を共有するためのスタッフ検討会が定期的に開催され、コミュニケーションが図られている。料金の収納及び会計処理は適切で、センター運営委員会や病院管理会議に報告されている。
 健診システムの管理は、マニュアルが整備され、トラブル発生時の対応も確立している。サーバーは健診を含め病院全体で管理されており、サーバー室にはシステム管理部門の職員が常駐している。委託業務の管理については、業者選定は適切で、業者から内部教育資料を提出させ業務管理を行っている。診療材料の管理はSPD方式で、発注と検収は異なる担当者で、内部牽制の体制を取っている。
 安全衛生管理については、職員の健康管理や感染性廃棄物・個人情報関係書類の処理は適切に行われている。また、地域の災害拠点病院であり、防災体制は充分に整えられている。
 企業や健保組合との契約は適切であるが、検査データ等のフィードバックが行われるよう検討されたい。病院広報誌「ふれあい」が年に数回発行され、毎回ではないが、健康管理センターの案内を掲載している。

2.受診者の満足と安心

 利便性への配慮として、男女別の待合室が設置され、毎日乳がんと子宮がんの健診が実施されている。受診案内や健康調査票もわかりやすい。
 受付の手順書や質問に対するQ&Aが作成されている。検査の案内や説明はマニュアルに沿って実施され、3名のコーディネーターによって誘導が行われている。アレルギー等の受診者情報はシステムで個別に管理されており、受診日の1週間前にスタッフミーティングで確認を行い、受診当日は受診者と一緒に廻るカルテ上でも確認できる仕組みで、安全管理は十分であり評価できる。
 プライバシーに関しては、氏名の代わりに番号での呼び出しにも対応している。問診室や呼吸機能検査室はカーテンで仕切られているが、声が漏れる恐れがあるため配慮を望む。
 検査の管理体制については、検体検査の内部・外部精度管理が適正に実施されている。検査機器の管理も適切で、トラブル発生時マニュアルが作成されている。
 業務改善の継続的な取り組みとして、受診者全員にアンケートを実施し、更に病院全体のご意見箱も設置されており、その内容は病院全体の安全管理会議や月1回行われる健診センタースタッフ検討会でも度々取り上げられている。オプション検査の拡充や健診当日の追加検査への対応、後日の結果説明の枠の増加などの成果をあげており、評価したい。
 セーフティーマネージメントや感染対策については、インシデントアクシデントレポートが報告され、受診者の急変に対応するマニュアルも作成されている。また、職員の感染防止にも努めている。

3.人間ドック健診の質の確保

 医師の体制では、医師数は適切に確保されており、人間ドック健診専門医が従事し、また本院の専門医が結果判定に関与しており評価できる。その他の医療職や事務職の配置も適切で、必要な専門資格や人間ドックアドバイザーを有している。
 職員教育については、年間計画を立てて、病院だけでなく健康管理センターとしても実施している。外部の学会や研修会に参加できる仕組みがあり、医師だけでなく医療職や事務職も人間ドック学会や地域の研修会に参加している。
 検査項目は人間ドック学会が提示する基本項目とオプション項目を実施しており、項目内容は運営会議で検討されている。検査結果の判定は、医師による画像検査のダブルチェックが行われ、心電図と眼底写真は専門医が判定している。判定基準は人間ドック学会の基準に準拠している。
 健診当日の医師による結果説明は、身体計測・検体検査を中心に実施され、全受診者に対して実施している点は評価できる。詳細な説明を希望する場合は、後日に対応している。今後は、当日の説明内容の充実を期待したい。
 保健指導は、医師の指示に基づき、看護師が受診者の28.5%に実施している。管理栄養士による栄養指導は二日ドック受診者に希望制で実施している。今後、指導実施率の向上や運動指導の体制構築についても検討を期待する。
 受診後のフォローアップについては、精密検査や治療が必要な受診者に対して、3ヶ月後に受診勧奨を行っている。受診勧奨の回数を増やすことや、健診当日に医師から画像検査の説明もするなど、受診者に精検の必要性がより伝わるよう改善されれば、さらなる受診率の向上が期待できる。生活習慣病の追跡検査も同様に実施率が低いため、より良い体制に向けて整備を望む。二次検査等の結果は健診システムに記録され、次回の受診時に活用されており適切である。
 健診の精度や有用性の検討については、評価を年報で行っており、人間ドックの調査研究にも参加している。また、人間ドック学会に2題の発表を行っており、十分な検討がなされている。

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