日本人間ドッグ学会

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総合評価・領域別評価

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総合評価

 霞ヶ浦成人病研究事業団 健診センターは、独立した健診施設として昭和51年に開設され、同じ敷地内にある東京医科大学茨城医療センターと協力して各種健診や健診後のフォローを行っている。
 年間の受診者数は、一日ドックが約6,200人、二日ドックが5人程(継続受診率81.2%)、その他の健診が約11,000人である。本機能評価は平成18年に初回認定を受け、今回が2回目の更新審査である。
 施設運営の基本体制に関しては、各種マニュアルや書類等が内容、種類も不足なく整備されている。受診者の権利・職業倫理についての職員研修は、採用時のオリエンテーションのみの実施であり検討されたい。前回の機能評価受審時の指摘事項に対して取り組みがなされており、サーバー室への入退室管理は常時施錠し、入室記録を残すように改善されている。契約企業・健保へのデータのフィードバックについても、検査データの集計を行う等改善されている。清掃委託業務の確認がなされているが、一部の委託業者では選定と評価の仕組みが十分でないため、引き続き見直しを期待する。今回の受審を機に、健診職員による消防訓練の実施や感染性廃棄物保管場所の整備がなされており、安全衛生管理体制は適切と判断する。
 受診者の満足度を高めるための仕組みは確立されている。受付や更衣室、検査実施場所等に、プライバシーの観点から課題があり検討されたい。また、全受診者へのアンケートは一定期間のみとなっており、更なる取り組みを期待する。
 健診の質の面では、人間ドック認定医を含め各種認定医と専門医が複数在籍し、画像診断は遠隔読影と施設の専門医による二重読影が実施され、高い質の確保が図られている。健診当日の医師による結果説明、その後の保健師と管理栄養士による指導の実施体制もあり適切である。受診後のフォローアップについては、追跡調査委員会が設置され積極的な受診勧奨を行っているが、精密検査、追跡検査ともに受診率が低いため、継続的な取り組みを期待したい。健診の有用性の検討では、定期的な学会発表や施設内勉強会が行われており、より有用な健診提供の取り組みも行われている。
 総合的な見地から、人間ドック健診施設機能評価の認定(更新)に値すると判断する。 

領域別評価

1.施設運営のための基本的体制

 健診センター独自の理念と基本方針は確立されており、見直しも実施されている。就業規則や職業倫理等は整備されており、職員に周知されている。職業倫理規定が制定され、違反行為への対応はセクシャルハラスメント防止委員会が設置されているが、過去に事例は無い。引き続き相談しやすい仕組みを望む。受診者の権利は制定されており、施設内やパンフレット等に掲載されている。
 10ヶ年の長期計画が作成されており、その中には女性技師による対応や女性フロアの充実等、女性受診者のニーズに応える計画も含まれている。
 組織図が作成され、人事異動の際に見直しも行われている。健診全体会議としては「業務調整会議」を月1回開催し、業務内容の検討が行われている。料金の収受と会計処理については、マニュアルにそって適切に処理されている。
 情報システムの管理は、専門のスタッフが担当しており、年2回のパスワード更新などのアクセス制限がなされ、緊急時対応マニュアルの手順も確立されている。サーバー室は施錠管理され、入退室記録が整備されている。
 委託業務管理については、評価と選定の仕組みが十分でないので見直しを望む。薬剤や診療材料は、適正に在庫管理がなされ、発注と検収も適切である。
 安全衛生管理については、安全衛生委員会が開催され、リスクマネジメントマニュアルが整備されており、職員の健康診断も実施されている。今回の受審を機に、防火・避難訓練が健診センターとして実施され適切である。また、感染性廃棄物の最終保管場所の掲示や施錠管理についても改善された。呼吸機能検査後のマウスピースの処理は業者に任せており、業者の業務について確認が望まれる。
 企業・健保に対しては、事業年報を発行し情報のフィードバックを行っている。

2.受診者の満足と安心

 ホームページは、在籍する専門医や学会発表内容の記載もあり、Q&Aも充実している。問い合わせ先の電話番号が予約と二次検査で分かれており、利便性に配慮されている。女性受診者への配慮としては、女性医師と女性技師が検査を担当する仕組みがあり、婦人科診察室前には女性専用の待合スペースが設けられている。
 受付はマニュアルに沿って実施されている。検査の進行は、フロアマネージャーが健診システムで状況を確認しながら案内している。茨城医療センターで行われるCTやMRI検査は、検査室と連絡を取り合い、待ち時間や病院利用者との接点が最小限になるよう努めている。定期的に待ち時間調査を行い、対策を図っている。検査室前には担当者の写真入り名札が掲示されている。
 施設環境については、室温は一日1回記録され、フロアマネージャーが適時調整している。清掃は外部委託であるが、前回受審時の指摘事項であった清掃項目や清掃状態のチェックを行うように改善されている。更衣室内に個別の着替えスペースが無く、また入口を開けると外から室内が見えることもあるため、検討されたい。トイレの手すりの設置や貴重品保管ボックスの設置など、今後工夫がなされると良い。食事は、委託業者により職員食堂の一角で提供され、メニュー考案に施設の管理栄養士が関与している。
 プライバシーへの配慮に関しては、呼出は番号でも対応しており、診察室や検査室は個別に仕切られている。受付カウンターは混雑時には最大4名まで対応しているが、受診者間の仕切りが不十分なので更なる配慮を期待する。問診、採血、血圧測定が待合室隅で行われており、声漏れ等に対して更なる配慮を望む。検体の取り扱いについては今回の受審を機に改善され適切である。
 検体検査の内部精度管理は適切に行われ、外部精度管理へも積極的に参加しており結果も良好である。パニック値への対応マニュアルも整備されている。各検査機器の始業前点検が行われ、トラブル発生時マニュアルが整備されている。
 受診者の意見は、意見箱と年数回の食事等のアンケートによって把握が図られており、業務改善に活用している。
 セーフティーマネージメントについては、委員会にて再発防止の検討が定期的に行われている。職員の感染防止対策として、インフルエンザとB型肝炎ワクチンの接種が実施されている。

3.人間ドック健診の質の確保

 スタッフ体制は、人間ドック認定医をはじめ各専門医が確保されている。入職時の医師免許の確認も行われているが、一部確認印の漏れがあり、専門医やその他の資格免許の確認の徹底が望まれる。技師や保健師、管理栄養士等、十分な職員数が確保されている。
 施設内の職員研修は、年間計画に基づき実施されている。特に新人研修における1週1テーマの42週間の研修資料は、自己学習とその後の上司との検討を行うカリキュラムになっており、内容も充実している。これは管理職の再研修にも展開されている。また茨城医療センターの研修会等にも参加しており、今後は伝達講習会や資料の回覧を期待する。
 二日ドックは糖負荷試験を実施していない。画像検査は遠隔読影と茨城医療センターの放射線科医によるダブルチェックが行われている。心電図は循環器専門医であるセンター長が当日の面接までに読影し、後日に循環器専門医によるダブルチェックが行われている。眼底検査は外部の専門医に読影を依頼している。
 医師による結果説明は約90%の受診者に対して行われており、次年度健診のために、面接医が面接内容等を健診システムに入力している。医師が必要と判断した受診者と希望者に対して、保健師と管理栄養士による指導を実施している。専門運動員が在籍していないため、今後の検討を期待する。
 受診後のフォローアップについては、当日の紹介状作成や、茨城医療センターへの当日受診・外来受診予約も行われている。精密検査指示者に対して、3ヶ月後に連絡のない受診者に手紙で受診勧奨を行っている。しかし、精検受診率と追跡検査の受診率は低率である。追跡調査委員会が設置され定期的に検討されており、また今回の受審を機に受診率向上の取り組みもなされており、積極的な姿勢は評価できる。今後、実施率の更なる向上に加え、得られた実績を健診精度や受診者満足等の向上に活用されることを期待したい。
 健診の有用性の検討については、学会や勉強会への参加を積極的に行っており、参加記録や参加後の各部署への資料回覧等の記録も残されている。学会発表も積極的に行われている。

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