日本人間ドッグ学会

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総合評価・領域別評価

一般財団法人 住友生命福祉文化財団 住友生命総合健診システム

総合評価

 住友生命人間ドック総合健診システムは、(財)住友生命福祉文化財団が母体となり、予防医学振興事業の一環として昭和47年に開設された歴史のある施設である。聴力障害者の無料健診を年1回実施し、スタッフも手話を取得してきめ細やかな受け入れを図り、地域に大きく貢献している。この活動は大阪府下でも有数の実績であり、それ以外にも介護する人への受診を優遇する取り組みもあり、特徴ある活動がなされている。
 年間の受診者数は、一日ドック約23,000人、二日ドック約30人(継続受診率86.2%)、その他の健診が約1,400人である。
 本機能評価は平成17年度に初回認定を受け、今回が2度目の更新審査で、準備書類も項目別に纏められており、受審への積極的姿勢がうかがえる。
 施設運営の面では、理念や基本方針、受診者の権利が明文化され、職業倫理に関する規程類も整備されているが、理念などの周知手法には検討の余地がある。在庫管理や安全衛生、防火・防災面への取り組みは組織的に行われ、契約先との連携も良好な関係を築いている。
 受診者の満足と安全では、受付は待ち時間の短縮を考慮した対応がなされており、採血時のタブレット端末を使用した採血支援システムは、健康障害リスクの軽減に大きく寄与するもので、評価したい。施設は前回と同様な配置であり、1フロアで全ての検査を実施し、男女別に受付や検査室を分離し、女性も安心して受診できる環境を整えている。また、マンモグラフィー導入や胸部CTの更新、経鼻内視鏡の増設など機器の充実も図られている。
 健診の質では、医師や看護職などスタッフ数は十分な体制であり、専門領域での資格取得も良好である。職員教育体制では、教育年間計画に基づいて記録を残すしくみを構築されるとよりよい。専門的な教育体制は申し分ない体制である。
 検査項目は問題なく、判定結果も適切で評価できるが、当日の医師による結果説明や健康指導は実施率がやや低く、早急な検討と取組みが望まれる。フォローアップ体制については、精密検査や治療が必要な受診者へ対応する体制が整っているが、追跡調査の対象者への受診勧奨は今後の課題である。各関係機関との連携は良好であり、健診結果の分析や学会発表の実績から有用性を十分に活用している点も高く評価したい。
 総合的見地から人間ドック健診施設機能評価の認定(更新)に値すると判断する。 

領域別評価

1.施設運営のための基本的体制

 理念と基本方針は作成され、ホームページへの掲載などで周知されているが、パンフレット等に記載されるとなおよい。受診者の権利の周知も同様であり、プライバシー保護や苦情の申し立ての内容が付加されるとよりよい。就業規則やセクハラなどの倫理面は住友生命コンプライアンス・ホットラインがあり、遵守効果に寄与している。
 中長期計画として、各部署の意見や要望を確認し、設備投資計画(10年計画)を作成している。具体的な活動計画や数値目標などを加えるとよりよい。事業計画に基づき予算書や報告書は作成され、概ね適切である。
 組織図は作成されているが、部署名の明記や指揮命令系統が分かるように工夫されるとより具体的でよい。必要な会議や委員会は開催されている。財務処理では、決算は年度末に行われているが、月次決算や四半期決算は実施しておらず、月次の予算対比や会計状況の把握にはやや精度を欠いているため、検討されたい。
 情報システムは複数の担当者が定められ、パスワード管理など問題なく、個人情報の管理も評価できる。委託業務の選定は手順に則っているが、評価の仕組みは今後の課題である。薬剤や診療材料は適正在庫で管理されており、発注や検収の内部牽制が図られている。安全衛生管理では委員会活動が行われ、防火・防災への対策や職員検診を実施している。感染性廃棄物は適正に処理され、個人情報に関する書類の廃棄も適切である。
 企業や健保組合との契約は適切で、契約先には年間受診者数や受診結果などの資料を提出しており、担当者は年3~4回訪問して情報交換を図っている。

2.受診者の満足と安心

 利便性では時間差受付や月に1~2回の土曜日健診、女性健診ゾーンの設置、女性医師と女性技師による子宮がん・乳がん検診の実施などの配慮がなされている。
 受付は男女別に4名のスタッフを配置して待ち時間の短縮に努めているが、今後は更なる効率化のために、タッチパネル式の受付を導入予定である。12名ほどのエスコートがマニュアルに則り案内している。前年の受診情報が活用され、特にタブレット端末を使用した採血支援システムでは、前回採血した部位の成否や翼状針使用の有無などを参照でき、健康障害リスクが軽減され高く評価できる。
 施設内は禁煙で清掃が行き届いており、男性・女性ゾーンとも待合は十分な広さが確保され、乳房触診モデルやフードモデルなどを置き、健康情報を提供している。
 プライバシーに関しては、受診者を番号で呼んでいるが、名前による本人確認も行っている。また、診察室や検査室などは個室であり、心電図や採血はカーテンやパーティションで仕切られている。検査結果は個人情報保護規程に基づいて管理され、結果照会の問い合わせも問題なく対応されている。
 検体検査の管理では、マニュアルに基づきパニック値の対応や、内部・外部の精度管理が行われている。生理機能検査や超音波検査等も同様に対処されている。
 受診者の意見把握については期間限定のアンケート調査の実績はあるが、常時行っているアンケートの回収率は低率であり、設置場所の再考など回収率の向上に取り組まれたい。業務改善では前回の指摘事項は殆どの項目で改善の取り組みが認められる。委員会が機能しており、今後は改善策を評価する仕組みを構築されたい。
 セーフティーマネージメントでは、体調不良や急変時、針刺し事故発生時、及び結核・帯状疱疹など感染症罹患者等への対応マニュアルを整備し、体調不良者用の休養室が男性・女性ゾーンに確保されている。また、事故発生時はインシデント・アクシデントレポートのルールに基づき報告が行われ、組織的に検討されている。現在は、医療スタッフを対象に2年に1回BLSの研修を行っており、今後は全職員対象として継続的に行うことも検討されたい。
 感染対策については、採血や検体の取り扱い、内視鏡の洗浄、感染症が疑われる受診者への対応などがマニュアルに基づき適切に行われている。一方、予防接種はインフルエンザおよびB型肝炎ともに、希望者のみの実施となっている。

3.人間ドック健診の質の確保

 医師や看護職など全ての職種で実態に応じた体制が構築されており、専門領域における資格取得の状況も良好で、評価できる。また、医師の採用時には、本人確認や医師免許証の原本確認も確実に行われている。全職員対象の教育と研修は、年間計画に基づくものではなく、記録も十分でない。専門的な教育体制は事務職が学会発表を行うなど、全職種において積極的に取り組まれ、レベルアップをめざす組織的姿勢は高く評価できる。
 検査項目の内容は問題なく、オプション検査も見直されている。画像や心電図はダブルチェック体制で、眼底写真は眼科医が関与しており、判定の仕組みは確立している。健診結果は全て電子情報で保存し、デジタル化以前の情報もマイクロフィルム化され、画像などの過去参照も容易に行える。
 当日の結果説明は3名の医師が担当し、前回受審より実施率は向上した。しかしながら、一日ドック55.7%、二日ドック59.3%の実施率であり、全員が結果説明を受けてから帰宅できる仕組み作りが必要である。健康指導も同様で、保健指導0.6%、栄養指導2.9%、運動指導0.8%と極めて低く、体制整備が
 課題である。健診結果に関する質問や相談に対してはマニュアルを作成し、頻繁な質問のQ&Aも作成されており、関係職種が誠意を持って対応している。
 精密検査や治療が必要な場合のフォローアップは、紹介先への確認を行い、未受診者への受診勧奨も行っている。また、胃がんなどの精密検査の指示と実施状況も把握され、マンモグラフィーの高い実施率は積極的アプローチの結果である。一方、追跡検査は、現時点では特定健診のみをフォローする体制であり、今後は糖尿病や脂質異常、高血圧のフォローを予定している。フォロー体制を確立して、有用性の検討などへの活用も視野に入れた取り組みを期待する。
 健診の有用性の検討では、各医療機関との連携を推進しており、健診結果の分析や数多くの学会発表などがあり、高く評価したい。

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