日本人間ドッグ学会

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総合評価・領域別評価

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総合評価

 聖隷予防検診センターは、社会福祉法人聖隷福祉事業団のドック健診を担う保健事業部の一施設で、30年の歴史を持つ県内有数の健診施設である。浜松市北西部に位置し、聖隷三方原病院などの関連施設が隣接している。
 年間の受診者数は一日ドック約17,000人、二日ドック約800人(継続受診率84.6%)、その他の健診が約48,000人である。平成17年に初回認定を受け、今回は2回目の更新審査(ver.3)である。
 「施設運営のための基本体制」に関しては、今年4月、ISO/IEC27001;2005認証を取得し、情報セキュリティシステムを強化した事は評価に値する。また渉外活動として、保健事業部(ドック健診を担う3施設)では健保・事業所・住民健診関係者を招いて、「事業報告懇談会」を毎年開催している。
 「受診者の満足と安心」については、前回の指摘事項は改善され、受診結果が確認できるまで追跡する体制を整えている。また、感染性廃棄物保管場所の表示を大きなものに変更するなど、業務改善に取り組まれている。
 「健診の質」では、教育プログラムが作成され、階層化研修や勉強会などが計画的に行われている。学会での演題発表等の回数も多く、保健事業部の研究発表会を毎年開催するなど、教育体制の質の高さが伺える。
 当日の結果説明時までに二重読影を終了し、即日結果票を交付するなど判定については良好である。その一方で、医師面接率は前回更新時の約90%から約80%に下がっているので、面接率の向上が望まれる。保健指導が72.8%と高い実施率で行われ、保健講話や栄養講話なども実施されており充実した体制である。
 受診後のフォローアップについては、受診勧奨を積極的に取り組まれており、手順などを含め良好と判断でき、今後も継続されるよう期待したい。
 総合的見地より、人間ドック健診施設機能評価の認定(更新)に値すると判断する。 

領域別評価

1.施設運営のための基本的体制

 事業団の基本理念と保健事業部の事業理念が明示されており、基本方針は事業計画に盛り込まれている。受診者の権利は明文化され、施設内に掲示されている。各種運営規程類は、事業団主導で作成、更新されている。
 保健事業部に倫理委員会が設置され、外部委員に弁護士が入っている。職業倫理については、事業団にコンプライアンスガイドラインがあり、職員はこれに則って行動するよう教育されている。セクハラ・パワハラについての窓口として各部署に担当者が複数名配置され、職員掲示板にメールアドレスも記載されている。
 経営情報(法人事業計画書、法人事業成績報告書、決算書)は、書面でも確認できるが、ホームページでも確認することができるよう公開されている。役職者の策定会議のほか、課長が職場の意見をヒヤリングし、事業計画に反映する仕組みがある。
 組織図や会議、委員会の体系が作成され、明確である。財務処理が適切に行われ、外部監査のほか、内部監査も定期的に行われている。
 情報管理では、2014年4月に、ISO/IEC27001:2005認証を取得し、情報セキュリティが強化された。個々にパスワードが割り振られ、最重要エリアへは認証カードで入退出している。
 委託業務契約は年1回の稟議事項として審議される仕組みである。在庫管理も適切に行われ、資材課でシステム管理されている。
 安全衛生管理や防災等の法令遵守も適切に行われている。
 企業健保との契約書は適切な更新が行われている。保健事業部として「事業報告懇談会」を年に1回開催し、健保、事業所の担当者や自治会などの関係者を招待している。今年で15回目、約200名の参加者がある。企業への検診後の情報提供も専門職が中心となり行われている。また季刊誌「すこやか&オアシス」を発行し、企業、健保や個人受診者、関連施設へ配布している。

2.受診者の満足と安心

 受診者の利便性については、年に数日ではあるが、医師以外は全て女性職員で対応する日が用意されており、土曜日にも健診を実施していることは評価できる。
 また、受付や進行の手順、検査手順等については、質問形式で明文化されており概ね良好であるが、改訂履歴等をより明確にされたい。既往歴、治療歴などの取り扱いはシステム上で共有されており適切である。施設は複数のフロアにまたがっているが、インカムの使用等により待ち時間を短縮しており、健康講話の実施などで時間を有効に活用している。
 プライバシーへの配慮については、ほとんどの検査は個室で実施されているが、一部パーティションで仕切っている。また結果の取り扱いの手順や対応等は適切に行われている。
 検体検査は自施設では便検査だけを行い、その他は隣接する系列病院で実施しており、精度管理もマニュアル等も含め適切と判断できる。検査機器の取り扱いマニュアルは改定日が確認できないので、記載するように改善されたい。
 受診者の要望は年に1か月間実施する満足度調査などを通じて把握しているが、ご意見箱の取り扱いについては手順を明文化したものがあるとなおよい。業務改善では前回の指摘事項の改善がなされている。
 セーフティーマネージメントについてはマニュアルだけでなく、報告と検討、改善及び周知が行われており適切である。また感染対策についても同様に良好で、教育が受けられなかった職員への補講が繰り返し行われており、職員へのワクチンの接種も適切である。

3.人間ドック健診の質の確保

 医師、医療職員、事務職員数は十分で、4名が人間ドック認定医を取得している。専門医などを含めた専門資格取得については、質の向上という側面から今後もより積極的に取り組まれたい。
 教育体制については、事業団全体として行われるものを基に充実しており、研修記録等も明確で良質と判断できる。保健事業部で階層化研修プログラムが作成され、保健指導や保健講話にも活かされている。専門職の保健事業部内の勉強会が計画的に行われ、学会や研修会に参加し発表も多数行われている。事務職は施設内及び課内での勉強会が行われている。
 検査項目は学会に準拠し見直しも行われている。保健事業部3施設共通の「オプション検査のご案内」は、検査項目について受診者に分かりやすく解説されている。画像診断では、X線の二重読影後に当日の結果説明が行われており、特に胃部は放射線技師の参加も見られ良好と判断する。眼底や心電図などはより積極的な専門医の関与が望まれ、今後の充実を期待する。
 画像データはデジタル化され、サーバーに保存されている。保健事業部の他の施設で受診しても、データ参照が可能な体制である。午前中に画像診断の読影と判定、ダブルチェックを行い、午後に診察と結果説明を実施している。子宮細胞診の結果も当日に出している。ただし、実施率が前回更新時よりやや低い(前回約90%から今回約80%)ことは否めず、結果説明を聞いてから帰宅するような仕組みや受診者の意識付けを期待する。
 保健指導は原則として全員(実施率72.8%)に行われ良好と判断できるが、栄養指導や運動指導についてもさらなる充実を検討されたい。多人数を対象とした保健講話と栄養講話が行われており、その為の看護保健スタッフ数も充分に配置されている。
 受診後のフォローアップについてもよく努力され、精密検査や追跡検査のフローチャートが作成されている。また、他医療機関との連携もよく行われており、更に充実した追跡が期待される。
 健診結果の分析や検討もよく行われており、今後も継続して発信し続けることでエビデンス構築の一助になることを期待する。

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